27日に放送されたSTAP細胞の論文問題を特集した「NHKスペシャル」を受け、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の代理人を務める三木秀夫弁護士が28日、大阪市内で報道陣の取材に応じた。

 NHK報道スタッフの強引な追跡取材により、小保方氏が「頸椎捻挫」と「右肘筋挫傷」で全治2週間のけがを負い注目を集めた「NHKスペシャル」。番組を視聴した三木弁護士は「想像通り偏向に満ちた一方的な観点からの番組でしかなかった。(番組が)集団リンチの先頭を切っているという認識」とバッサリ。

 さらに「この番組の取材の過程で傷害事件が発生しているにもかかわらず、それに関するコメントも一切なかった。今後何らかの対応を考えていかざるを得ない」と厳しく非難した。

 当初は刑事告訴や損害賠償請求も示唆していたが、「警察の手続きを取ると供述調書の作成であるとか現場検証などに時間を取られる。今は再現実験が最優先で神経を集中しているので、支障が出ないようにしたい」と慎重な姿勢を見せた。

 NHK側の対応については「番組責任者から自主的に謝罪があると思ったけど、なくて残念でした。(放送日の)27日朝にメールで『NHKがニュース番組を含め、(過剰取材で小保方氏がけがを負った件について)一切報道していないことをどう考えているのか』『取材の過程でこうした事件が発生したことについて、特集番組で何らかの説明が流れるのか』と質問したが、その後一切応答がなかった」と怒り心頭だ。

 右手にけがを負ったことで再現実験に支障が出ることが懸念されていた小保方氏だが、「けがよりも精神的ダメージのほうが大きく、今も恐怖感に襲われると話しているが、実験には参加している。彼女自身は再現実験に集中したいということなので、我々(弁護団)としてもそれを尊重したい」と、しばらくはSTAP細胞再現に専念する意向だ。