22日午前9時ごろ、三重県四日市市鈴鹿川の河口付近で「子供3人が乗ったボートが転覆した!!」という通報があり、海上保安部などが沖合を捜索したが、イタズラ電話の可能性が高いことがわかった。

 通報は携帯電話から男性の声で「小学生3人が乗ったゴムボートが転覆し、1人は自力で岸に上がり、2人が流されている」と四日市海上保安部にかけられた。海保と四日市南署などが河口から沖合まで約4時間にわたり捜索したが、ゴムボートは見つからず。同署が携帯電話の持ち主を特定したところ「22日の朝、携帯電話を紛失し通報していない」と話したという。

 海上保安部による海での捜索費用はもちろん国民の税金。海保によると、今回の捜索のために県警と合わせて約90人態勢で、ヘリコプター2機と巡視船4艇が出動した。捜索費の大部分を占めるのが燃料代で、数百万~1000万円がかかったと推測される。虚偽通報の犯人が逮捕された場合、軽犯罪法違反の罪に問われるが、捜索費用の賠償請求はどうなるのか。

「海上での捜索の場合、国民の皆さんの税金で活動しますので、救助された方に費用を請求することはありません。ただし、虚偽通報となると、損害として(犯人に)請求することがあります」(四日市海上保安部広報)

 海保が出動したイタズラ通報で有名なのが2002年に起こった「江の島虚偽通報事件」。男性(41=当時)が「江の島で北朝鮮の工作員とみられる不審者が潜水艦から上陸した」と通報し、巡視船17艇、航空機4機が出動。特殊警備隊も出動する大騒動となった。

 後に男性がイタズラ電話だったことを認め、800万円の経費の賠償請求が行われ、男性が130万円を支払うことで示談が成立した。

 虚偽通報した犯人は見つかれば、賠償しなければならない。