計画的犯行だったのか。岡山県倉敷市の小学5年の女児(11)を監禁した疑いで逮捕された岡山市の藤原武容疑者(49)が“監禁部屋”を用意していたことが分かった。2階建ての一軒家に1人で住む藤原容疑者は、昨年暮れにリフォームを行い、防音措置の施された小部屋を増築。この部屋に女児はいた。近隣住民は「今になってみると、監禁のために作ったとしか思えない」とゾッとした様子で語った。

 女児が見つかったのは1階の4畳半の部屋。この部屋に2人でいて、女児はパジャマ姿で寝転んでテレビを見ていたという。この部屋が、防音リフォームされた監禁部屋だった。藤原容疑者は約30年前に両親と姉とともに引っ越してきた。その後は両親だけが住んでいたが、3~4年前に父親が死亡すると、母親の介護のため、週末に藤原容疑者が訪れるようになった。昨年、母親が老人ホームに入ってからは、藤原容疑者が1人で住んでいた。近所に住む30代男性は「昨年暮れごろに増築リフォームしていた。1人で住むのにどうして増築するのだろうと思っていた。今にして思えば、こういうことをするためのものだったと思える」と話す。小部屋は家の裏側で、外から見ると、その部分だけが出っ張っている。防音だからなのか、窓がない。

 事件前には、藤原容疑者が所有する車のナンバープレートの偽装が目撃されていた。4月、ナンバープレートの上に重ねた別のプレートを取り外していた男を、女児宅近くに住む女性が自宅前で見ていた。不審に思い、女児の不明後、覚えていた「岡山」や数字4桁のナンバー情報を県警に伝えた。

 女児の母親(39)も5月と6月に2回、自宅周辺で不審な銀色の車を目撃し、記憶したナンバーを県警に話していた。2人が目撃した数字4桁と藤原容疑者の車のナンバーが一致したという。

 防音部屋を用意し、ナンバーを偽装し、ターゲットを物色していたわけだ。「2000年に新潟県柏崎市で、約10年前に誘拐した少女をずっと監禁していた、引きこもりの男が逮捕された事件があった。この事件をほうふつとさせる計画的長期監禁をしようとしていた疑いが出てきた」と関係者。

 アニメーターを名乗る藤原容疑者の自宅には、アニメのポスターが貼られていたという。前出の男性は「人付き合いはいい方ではない。見た目は坊主で眼鏡をかけていて、ガタイはいい。オタクっぽいと言われればオタクっぽい。仕事をしている様子はなかった。事件を起こしたと聞いて、『まさか』というより、『やっぱり』という気持ちもある」と話す。

 昨年4月、町内会の班長が会費の集金のため、同容疑者宅を訪れると、「週末しか帰っていないのに払わないといけないのか」と拒否。後日、説得して年6000円の会費を払ってもらったという。しかし、回覧板の受け取りは断り、事実上、町内会から抜けた。

 普段、その姿が見かけられるのはコンビニ帰りや散歩のみ。近所から孤立することで、長期監禁がバレにくい環境を作ろうとしていたのか。