一昨年9月に東京・六本木のクラブで飲食店経営の男性が暴行され死亡した事件で、傷害致死罪などに問われた暴走族「関東連合」(解散)元リーダー・石元太一被告(32)の控訴審初公判が17日、東京高裁で行われた。この日も傍聴券を求めて列ができるなど世間の興味を引いている関東連合だが、解散したとはいえ元メンバーの間には、かつてないほど緊迫した空気が充満しているという。

 石元被告は一審判決で懲役11年(求刑懲役22年)の実刑判決を受けるも、無罪を主張して控訴。検察も量刑不当で控訴していた。


 この日は証拠に関する手続きだけで、わずか10分足らずで終了。伸びた髪を後ろで束ね、ネイビーにストライプの入ったスーツを着た石元被告は、弁護側が提出していた証拠の一つが採用されたことで、小さくガッツポーズを見せる一幕もあった。


 またこの場で、弁護側の請求により、次回公判で石元被告の被告人質問が行われることも決まった。一審の被告人質問では「芸能活動など今後のことが大事で、積極的に関与していない」などと無罪を主張。あくまでも傷害致死や凶器準備集合罪には関わっていないという立場を貫いた。


 それに続いて2度目の被告人質問になるのだが、前回とは少し事情が変わってきたという。
「どうやら(元)関東連合内に、緊迫というか不穏なムードが漂っているらしい。石元被告もいろいろと思うところがあるみたいで、被告人質問に注目が集まっている」と司法関係者。


 昨年の一審初公判前の7月、元関東連合幹部・工藤明男氏(仮名)が「いびつな絆 関東連合の真実」を出版。これが元メンバー内に大きな波紋を呼んだことは、様々なメディアで報道されてきた。現在勾留中の石元被告が先日出版した獄中手記「反証 六本木クラブ襲撃事件『逮捕からの700日』」(双葉社)内でも、工藤氏のことを糾弾している。


 だが今回はそれだけではない。同著の中で石元被告は、元関東連合の実質的リーダーで、同事件にも関わり、現在も逃亡中の見立真一容疑者(35)についても不信感をのぞかせているのだ。見立容疑者が自分の罪を軽くするため、石元被告に責任を押し付けたのではないか?という疑念を書きつづっている。その一方で見立容疑者を信じる気持ちもあるようで、いまだどう判断すべきか悩んでいる様子だ。


 これまで石元被告と見立容疑者は“仲間”とみられていたのだが…石元被告の口からいったい何が語られるのか、注目される。