政務活動費の不自然な支出の責任を取り11日に辞職した元兵庫県議の野々村竜太郎氏(47)の、エキセントリックな新たな一面がまた明らかになった。一部メディアで報じられた、以前賃貸契約していた同県西宮市内のアパートでの家賃滞納トラブルに際して、「騒音を出してくれ!!」と近隣住民に頼み込み、追納を免れようとしていたというのだ。野々村氏は不正支出の疑惑が持たれる政活費1800万円の一括返納を申し出たが、疑惑そのものには答えず。辞職しても幕引きとはいかない――。

 野々村氏が返納する政活費の納付書が14日に同氏へ送付された。送り先は本人指定の住所。「そこから、さらに別の場所に送られるみたい。まるでドラマの犯人みたいな方法ですわ」と県の幹部もあきれるほどの警戒ぶりだったという。

 金額は過去3年間に不自然な使い方をされた1834万円で、29日までに払わなければ年利5%の遅延金が発生する。野々村氏はこの支出に「記憶がない」と連呼しただけに、「納付書が送られてきた記憶がない」と言う可能性もある。同幹部は「本当に払ってくれるのか心配しています。ただ、連絡も思うように取れないため、“犯人”の言いなり。なんとか県民のみなさまのお金だけでも回収しないと」語る。

 そんな野々村氏について、事情を知る地元関係者は「今回も発覚したから返納の意向を示しているんでしょう。以前、家賃滞納で裁判になった際も、ギリギリまで物件にケチをつけて払おうとしなかったが、裁判で追い込まれてやっと納入し、野々村氏が退去することで和解したのです」と過去のトラブルを明かす。

 野々村氏は兵庫県川西市役所を退職した後の2008年8月、同県西宮市内の築20年になる家賃5万9000円の3階建てアパートに入居した。直前には太子町長選に打って出て最下位で落選している。契約時に2か月分(8、9月分)をまとめて支払って以降、家賃を滞納し続けたというのだ。
「もともと、踏み倒すつもりだったのかもしれない」と前出の関係者。

 結局、家主側が野々村氏に未納分約36万円の支払いと退去を求めて民事訴訟に発展。当時、野々村氏は一歩も譲らず、家賃を支払わない正当な理由として建物の瑕疵(かし)をいくつもデッチあげ、逆に大家側に60万円相当の慰謝料を求める内容証明を送り付けている。

 そのケチのつけ方が、あまりにも野々村氏らしい。関係者によると「野々村氏は『騒音がうるさい』と家賃を払わない理由を説明した。まずは『真下の住人の洗濯機の音がうるさい』とケチをつけたのですが、下の住人の家に洗濯機はない。今度は上階の住人に『騒音を出してくれ』と“騒音協力”を依頼しているのです」

 それだけではない。入居前にガスコンロを設置済みだったにもかかわらず「入居してみると契約書面にはコンロ2口と書かれていたのにない。大家に早急に設置するよう求めたが2週間以上放置された」と主張。これは裁判で取り付け業者が、入居以前の領収証などを提出してデタラメだと判明した。

 また、野々村氏が、自室の窓ガラスにヒビが入っていたとして窃盗未遂事件だと騒いで西宮署に被害届を出した際も「窓ガラスを取り替えるよう大家に求めたのに放置された」と主張。これも業者から「見積もりのために何度連絡を入れても『忙しい』などと野々村氏が取り合わなかったためにリフォームできなかった」と経緯が説明されている。

 風呂場の水漏れ、部屋の悪臭など、とにかく何にでもケチをつけて家賃の支払いを免れようとした野々村氏。無謀な選挙に打って出た選挙費用の“回収”や過去に自分を落選させた県民への八つ当たりのつもりなのか、異常なまでの金への執着が見えてきた。

 なお、市民オンブズマン兵庫が近く、野々村氏を県警に刑事告発する方針を固めた。詐欺容疑を視野に入れている。同団体によると、野々村氏以外の県議についても政活費の不適切な支出が見つかれば、住民監査請求や刑事告発も検討する。