“いじめ”ではなく“校内リンチ”だ

2012年08月10日 18時00分

ホラー小説家・平山夢明氏の「いじめ撲滅提言」<前編>

 大津市の中2男子自殺事件以来、全国で「いじめ事件の発覚」が後を絶たない。そこで、いじめ問題に詳しい人気ホラー小説家・平山夢明氏(50=写真)が、本紙に「特効薬となり得る対策」を提言した。

 

 陰湿かつ悪質すぎるいじめをなくすことはできないのか? 平山氏は、何でもかんでも「いじめ」という言葉でくくってしまうのがまずいと主張する。

 

「マスコミは“いじめ”という言い方をすぐに変えること。今のいじめはリンチ。“スクールリンチ”だ」と言い切る。確かに、大津の事件では3人、さらにヒドいケースになると集団で1人の生徒をいたぶる。「中学校でリンチ」と報道すれば、暴行事件として警察も動きやすい。

 

 もう一つ、加害者らが金品を要求するケースも多く、見過ごせない。「大津の事件では金をゆすっていた。それは犯罪。その場で金を取って終わらせるのはカツアゲ。これが“持って来い”と命じるといじめになってしまう。これが非常に巧妙」

 

 要するに、いじめられている被害者が強制的に万引きをさせられると、加害者にすり替えられてしまう。万が一、それを学校が知っていて何も手を打たないと、加害生徒たちは「アイツに盗ませればいい」というパターンが出来上がってしまう。

 

「つまり、いじめをやっても大丈夫なシステムを学校、市の教育委員会が総合的に機能させている。日本はいじめのインフラが整っているわけ」

 

 文部科学省は、いち早くスクールリンチの基準を作り、調査すべきだと平山氏はいう。

 

 ただし、いじめっ子も「救済するべき。子供の異常行動の原因の90%は家庭にある。家族ごと特別なカリキュラムを組んで、2週間くらいファミリーカウンセラーと治療合宿すればいい」と話した。

 

〈後編へ続く〉殺人者つくった教師が辞めるのは当然

 

☆ひらやま・ゆめあき 1961年、神奈川県生まれ。ホラー小説作家。「独白するユニバーサル横メルカトル」が2007年度「このミステリーがすごい!」国内1位を獲得。ほか多数の文学賞に輝く。エッセーも手がけ「どうかと思うが、面白い」(扶桑社)が発売中。