通信教育大手ベネッセコーポレーションの顧客情報流出問題で、情報を持ち出したとみられる再委託業者の関係者が、ベネッセから貸与されたパソコンを使いデータをコピーしていたことが11日、分かった。データはUSBメモリーなどの記憶媒体に移し持ち出したとみられる。


 警視庁は、データへのアクセス権限がある再委託業者が、業務を装いデータをコピーしていた可能性があるとみて、不正競争防止法違反(営業秘密の複製など)の疑いで詳しい経緯を調べている。


 ベネッセ関係者によると、同社はグループのシステムを担当する関連会社「シンフォーム」に顧客データの管理などを委託。さらにシンフォームが複数の業者に再委託していた。


 再委託先の関係者には、ベネッセがパソコンを貸与していた。情報流出発覚後のベネッセの調査で、関係者が使っていたパソコンからサーバーにある顧客データへアクセスした痕跡が複数確認された。


 データは昨年末ごろ複数回コピーされ、今年1月ごろになってから名簿業者に流出したとみられる。


 6月26日以降、ベネッセの顧客から、IT事業者「ジャストシステム」(徳島市)のダイレクトメールについて問い合わせが相次ぎ、データ流出が発覚した。


 ベネッセによると、流出が確認された顧客情報は約760万件で、最大で約2070万件に上る可能性があるという。子供と保護者の名前、住所、電話番号、子供の生年月日や性別といった個人情報が含まれている。


 これらの情報が詐欺グループの手に渡れば、大変なことに。詐欺研究家の野島茂朗氏は「架空請求や特殊詐欺はやり放題でしょう。少子化で親バカが多いので、芸能デビューやスポーツ進学を装った優待レッスン詐欺師にとっては、まさに釣り堀状況でしょう」と指摘する。


 例えば、生年月日を活用した無料占い診断を送りつけ、「芸能デビュー運がある」「海外に行くと開運」などの鑑定書を送りつける。その数日後、別の業者が「海外デビューできます!」「海外留学優先枠に選ばれました!」と引っ掛ける手口がある。「そうなれば、数十万円をローンで払う親がいるかもしれません」と野島氏は語る。