芸能人を利用した詐欺が広がっている。フリーアナウンサーの宮根誠司(51)の名前を利用した詐欺未遂事件を「ミヤネ屋」(日本テレビ系)が放送し、反響を呼んだ。他にも大手プロダクションに類似した社名をネット上でかたり、フェイスブック、ミクシィなどのSNSでタレント、モデルをスカウトし、登録料をむしり取ったうえ、登録者の写真を詐欺に活用する手口が横行しているという。年ごろの娘は大丈夫か?



 宮根の名前を使った詐欺未遂事件は5月31日、過去に170万円の詐欺被害に遭った長崎市の60代女性のもとへ、番組制作会社を名乗る男から電話があった。


「詐欺を取り上げる番組に協力してほしい。宮根さんが司会で生放送する。一緒に写真も撮れます」などと言われ、後日、パンフレットと名刺が送られてきて「過去の被害にあったお金が取り戻す制度がある。そのためには社債を購入する必要がある」との内容だった。


 不審に思った女性が警察に相談し、被害は未然に防げたが、宮根本人も海外から「まったく心当たりはないです。私が言うのもおかしいですが、大変ご迷惑をおかけしまして」などと電話で女性とやりとりした。


 一方、ネット上では詐欺プロダクションが問題になっている。芸能事務所「スカイプロダクション」を名乗り、実在の大手芸能プロ「スカイコーポレーション」をほうふつとさせるもの。ネット上でも両社が混同されるような書き込みもある。


 スカイプロダクションはSNSで、いきなり「大手プロダクション系なので、メディアに売り出せる。仕事数も多いのでメジャーになれる」と偽のメッセージを送ってくる。それに返信してきた人に対し、まず数万円の登録料を請求する。


 被害者は「登録料は2万5000円ほどで、あとは写真代とかで1万円ほど。『仕事が全くなかった場合は登録料を全額お返しします』と自信たっぷりに言われたので信用してしまった。実際には仕事はなかった。私の知り合いに国会議員の関係者がいることを知り、それ以上だませないと諦めたようです。ネット上に多くの被害者からの書き込みがあっても、全然捕まらないのが不思議なくらいです」と明かす。


 登録した人の写真は、女性ならプロフィル写真に使ったものを詐欺用のSNSアカウントに使ったり、出会い系のサクラに使ったりと悪用される。同被害者は「おかしいなと気づき、プロダクションのホームページにアクセスすると、エロサイトに飛ぶ仕組みになっていた。やりたい放題でした」と言う。


 この被害者のように、写真が削除された事例はあるが、ほとんどが泣き寝入りだという。


「アダルトサイトでの悪用とモデルとしてアダルトサイトでも女の子を使っていた。撮影会と称して、女の子の下着姿とかも写して、お金を取ったり、画像をワンクリック詐欺で使って莫大に儲けたりもしていたみたい。私の写真はスカイプロダクションのタレントとしてサイトに使われていました。被害が広がり悔しい限りです」(被害者)


 悪質な詐欺を見つけ、公開するサイト「詐欺退治ドットコム」運営者はこう指摘する。


「個々の被害者が警察に相談しても『タレント登録されて広告モデルになっているから、詐欺にはならない。民事不介入』と言われて取り合ってもらえない。弁護士に相談しても、プロダクションの住所が不明だったりという理由で提訴してもらえない」


 芸能人を使った詐欺は昔からあるが、くれぐれも注意が必要だ。