あまりにミステリアス! 大阪・西成区で行方不明となった准看護師の岡田里香さん(29)が、東京・八王子市内で遺体となって見つかった事件は、不可解な点だらけで謎が深まるばかりだ。岡田さんになりすまし、中国へ渡った元同級生の日系ブラジル人の女と、中国人元留学生の女が何らかの形で事件に関与していることは間違いない。しかし、一連の犯行には手際の良さと稚拙さが混在する。また2人の女の深すぎる関係も浮き彫りになってきた。

 岡田さんは3月21日に勤務先に出勤したのを最後に行方不明となり、今月22日、八王子市内のトランクルームで見つかった遺体が本人と確認された。捜査関係者によれば、3月23日に宅配業者に連絡があり、翌日には岡田さんの自宅から長さ2メートルの段ボール箱が「粘土の人形」として都内に宅配されていた。

 さらに5月3日に日系ブラジル人の女Aが岡田さんになりすまし、中国・上海に渡航していたことが判明。Aは岡田さんの小中学時代の同級生で、4月上旬に岡田さんになりすまして、パスポートを取得したほか、航空券購入やトランクルームの利用代などを岡田さんのクレジットカードで100万円以上支払っていたとみられる。

 宅配先となった都内のマンションは、首都大学東京に留学していた中国人の女Bが借りていた。BとAは6年前に大阪で知り合ったとみられ、約3年前から同居。トランクルームは岡田さん名義で4月末に借りられており、約1か月もの間、AとBは遺体と部屋で同居していたとみられる。結局は部屋に荷物を残して、ともに上海に渡った。

 この事件では大きく2つの不可解な点がある。一つはパスポートと宅配便のダンボール箱だ。事件を取材している元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「パスポートの申請・取得があまりにもスムーズ過ぎるし、2メートルものダンボール箱は宅配業者でも扱っていないから、自前で用意しないといけない。仮に岡田さんが亡くなってから2日後に配送されているとなれば、事前に、ある程度の準備は必要だったのではないか」と指摘する。

 となると計画的犯行にも見えてくるが、「人を殺してまでパスポートを欲しくなるとは考えづらい。パスポートを手にした後もすぐ中国へ行っていない」(小川氏)。

 一方で数々の証拠を残すずさんな面もある。岡田さんが遺棄されたトランクルームには、本人の名前が入った伝票も一緒に置かれていた。
「トランクルームは5月末までの契約で、遺体が見つかればすぐに岡田さんと身元が分かる。また本人のクレジットカードを使えば足がつく。背後に指南する犯罪組織があれば、そんな稚拙な手は使わない」(小川氏)

 偽装工作を図りながらもAとBはフェイスブックなどのSNSを利用しており、中国へ渡った後もアカウントは削除されていない。

 果たして偶発的なアクシデントが発端なのか、それとも計画的なのか。または別の人物が関与しているのか――。