PC遠隔操作の“真犯人”小保方銃蔵の要求

2014年05月18日 16時00分

 パソコン遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社社員片山祐輔被告(32)の公判真っただ中の16日、“真犯人”を名乗る人物が、片山被告を犯人に仕立て上げたとする内容のメールを報道機関や弁護士らに送ってきた。真犯人であれば、片山被告の冤罪を証明する決定的証拠となり、すでに4人を誤認逮捕した当局の大失態が拡大しかねない。一方、片山被告の自作自演や愉快犯によるイタズラの可能性も残され、事態は混迷を深めている。

 16日午前11時40分ごろに各所に届いたメールの差出人は「小保方銃蔵」。STAP細胞の論文捏造(ねつぞう)騒動の理化学研究所、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)をやゆするような名前だった。

「あ。真犯人です。お久しぶりですね。何でこのタイミングで登場かというと、片山氏が報道ステーションやレイバーネットに出てるのを見てかわいそうになったからです」と始まり、片山氏のパソコンにウイルスを仕込んだ方法から遠隔操作事件の犯人に仕立てた経緯が細かく書かれていた。

 事件は2012年6~9月にかけ、小学校や幼稚園の襲撃予告、日航機、伊勢神宮の爆破予告をしたなどとして、昨年2月に片山被告が逮捕され、公判が行われている。“真犯人”は「おまけ 秘密の暴露(まだ公開されていない…はず)」として、起訴されなかった首相官邸に送った桜田門前での殺人予告、部落解放同盟へ送った爆弾予告事件の細かな文面を公開し、真犯人しか知り得ない情報とした。

 真犯人を名乗る人物からの犯行声明メールは過去にもあった。最初は12年10月で、この時も秘密の暴露が含まれ、逮捕や起訴されていた4人の冤罪が確定する結果につながった。その後も断続的にメールは送られ、一連の内容から片山被告への逮捕とつながっていた。ちなみに最初のメールの差出人名は「鬼殺銃蔵(おにごろしじゅうぞう)」だった。

「真犯人に名乗りでてほしい」と訴えていた片山被告には、待ちに待った“真犯人の告白”だが、16日の会見では複雑な心境を見せた。片山被告は今年3月に保釈された後、公判以外は自由の身にあった。“真犯人”からのメールは昨年1月以来で、片山被告自らが送ったのではないかと疑念を持たれ、報道陣から現在所持しているパソコンやスマホなどの使用状況を明かしてほしいという質問攻めにあったのだ。

 片山被告は「(真犯人は犯行声明を)どうせ出すなら(自分が)勾留しているうちに出してほしかった。第三者に頼んだとかいわれるのは避けられない。家宅捜索に来るのだけはやめてほしい」と訴えた。弁護団を務める佐藤博史弁護士も「(片山被告が)疑われるのはしようがない。秘密の暴露としては足りない。もっとトリックを言ってほしい」と、メールの信ぴょう性は高いとしながらも100%と断言できないとあって“真犯人”に注文をつけた。

 それだけにメールが冷やかしや便乗犯による可能性も消えない。すでに犯行声明や公判などで事件の詳細がつまびらかになっている。“真犯人”からのメールを受け取った落合洋司弁護士はツイッターで「前の真犯人からのメールと今回の自称真犯人のメールは書きぶりがやや違う気がする」と違和感を指摘した。佐藤弁護士は「(送り主が)違う印象を受けるが、複数の犯人がいるとすれば書き手が違うこともあり得る」とハッカーグループによる仕業とみる。

“真犯人”はメールの最後で「警察・検察は片山氏に1億円ぐらい補償してあげてくださいね。警察庁長官か検事総長がNHKで15分間、パンツ1枚で犬のマネしたら…上手にできたら私自身が出頭してあげますよ」と徹底的に捜査当局をコケにしている。

 もし、片山被告が冤罪となれば、5人目の被害者を出した当局はメンツ丸潰れだ。1年間勾留されていた片山被告も「この文面を見る限り、相当サイコパスな人。人の権利とかどうも思っていないひどいヤツ」と憤る。果たしてメールは真犯人か、それとも何者かによる公判かく乱か。警視庁はメールの内容や発信元の分析を急いでいる。