オウム菊地被告公判で催眠ガス充満

2014年05月17日 20時01分

 オウム真理教元信者、菊地直子被告(42)の裁判員裁判の第5回公判が15日、東京地裁で開かれた。元教団幹部中川智正死刑囚(51)と恋人関係にあり、教団施設でサリンなどを製造していた元信者の女性が証言した。

 菊地被告も中川死刑囚と男女関係があったことから、2人は同じ男の元カノという点で共通する。だが、女性は菊地被告との接点について「顔をお見かけしたくらいで、話すことはありませんでした」と語った。

 午後は警視庁の「科学捜査官」ポストに史上初めて就任した現警視正の男性(57)が証言台に立った。地下鉄サリン事件からの一連のオウム事件で、教団製造の毒ガスや爆弾などの兵器分析を担当した。和歌山カレー事件などの重大事件も担当するなど、兵器分析のプロ中のプロだ。

 出廷したのは、1995年の都庁郵便物爆弾事件で菊地被告が運搬した爆弾の原料の特性などについて解説するためだ。「できる限りわかりやすく説明する」と裁判員に述べ、サリンやVXガスなどの毒ガスによる人体への影響や、高性能爆弾の作り方などの解説を始めた。

 ところが、その内容は次第に難解になっていく。法廷内のモニターは細かい化学反応式や毒ガスの構造式であれよあれよと埋め尽くされていく。ノートにペンを走らせていた司法担当記者たちも、メモを取ることをあきらめてしまった。

「毒ガス・爆弾講座」は、証人尋問と合わせて3時間以上続いた。毒ガスのプロによって法廷内には“催眠ガス”が充満。少なくとも10人の記者、多くの傍聴人が目を閉じて眠りに落ちた。証言台の隣に座る屈強な法廷職員ですら上体を前方に90度倒して床を見つめる始末。裁判長は「傍聴人の皆さん、お疲れさまでした」と異例とも言えるねぎらいの言葉でこの日の公判を締めた。