ソウル地下鉄衝突事故でも乗務員が「動くな」

2014年05月04日 09時00分

 セウォル号の沈没事故という大惨事が起きた韓国で、今度は地下鉄衝突事故が起きた。2日午後3時32分ごろ、ソウル中心部の地下鉄2号線の上往十里駅で、不具合で停車中の列車に、後続の列車が衝突した。約170人が軽傷を負ったが、幸い死者は出なかった。だが、ツイッターなどには、乗客が列車を降りて、地下鉄線路を歩く画像が多く投稿された。

 セウォル号では、船内アナウンスで「絶対に動かないでください」と指示があり、修学旅行中の高校生は客室にとどまって、船とともに沈んでしまう惨事になった。

 韓国メディアによると、乗客は「『前の列車が出発できず、しばらく停車する』という車内アナウンスがあって、しばらくしてドンという音がして電車が傾いた。急停車はなかった」と話す。

 衝突後、乗務員が「静かにしてください。動かないでください」と伝えに来たという。「その途端、セウォル号の『動かないでください』というアナウンスを思い出し、乗客が強制的にドアを開け、ドッと降りた。それで乗務員は『降りて移動してください』と言い直したんです」と同乗客。別の乗客は「衝突後、衝突理由の説明も避難アナウンスも一切なかった」と明かした。

 韓国事情通は「韓国の地下鉄では2003年に悲惨な大邱地下鉄放火事件がありました。セウォル号と併せて思い出した乗客がたくさんいたため、逃げたのでしょう。今回は乗客たちがSNSで『ドアを開けて、早く逃げましょう』『落ち着いて逃げましょう』と伝え合った」と指摘する。

 03年の地下鉄放火事件は、中央路駅ホームに停車していた列車内で男がガソリンをまいて火をつけ、焼身自殺を図り、192人が死亡、148人がけがをした。パニックになった運転士がマスターキーを抜いて逃げ、列車はドアが開かなくなり、乗客は閉じ込められたまま焼死。まるでセウォル号の船長のような事故だったことが市民の記憶に残っているという。