<パソコン遠隔操作事件>小保方氏は片山被告の女神か

2014年04月17日 11時00分

記者会見する小保方氏

 こんなところでもSTAP細胞だ。パソコン遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社社員の片山祐輔被告(31)の第6回公判で15日、場違いなSTAP細胞という言葉が法廷に響いた。佐藤博史主任弁護人が「アドリブで入れた」と言う公判冒頭での「意見」で飛び出したものだが、“小保方騒動”に便乗した格好だ。事件とは何も関係がないはずなのに、いったいどんな狙いがあったというのか。

 今回から陪席裁判官が変わったことで、佐藤氏は「この裁判の現在と今後について述べたい」と切り出し、約45分にわたって熱弁をふるった。傍聴人らが思わず耳を疑ったのは、意見が終わりに差し掛かったころだった。事件では犯人が神奈川県の江の島において、セロハンテープでSDカードを貼り付けた首輪を猫に付けている様子が防犯カメラに捉らえられたとして、警察は片山被告を逮捕した。

 佐藤氏は警察によるセロハンテープに付着したDNA鑑定書がめちゃくちゃだと指摘。続けて「最近ではSTAP細胞論文の研究ノートのことが話題になっているように、鑑定した技官のノートも重要なものです」と旬な話題を持ち出して、ノートの重要性を訴えた。

 STAP細胞論文をめぐって、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)が理化学研究所の調査委員会に提出した研究ノートは物議を醸した。3年でたった2冊という少なさ。しかも、ノートを見てもどの記述がどの実験に対応しているのか、たどることのできない断片的な内容だった。

 石井俊輔調査委員長は会見で「記述内容も詳しくないため、肝心の画像がどのように作られたかを追跡できなかった」とずさんさを指摘した。小保方氏は他にも研究ノートがあると主張しているが、内容は明らかにされていない。

 公判後、佐藤氏にSTAP細胞に言及した狙いを聞いたところ「あれはアドリブなんですよ。技官のノートは開示されているのですが、ものすごく雑でした」と話した。つまり、小保方ノートに似ているということか。

「そう。技官のノートからは(鑑定書の内容を)たどれず再現できない。STAP細胞論文を持ち出したのは、その方がみなさんも分かりやすいじゃないですか。ちょうど話題になっているし」と佐藤氏はほくそ笑む。

 セロハンテープに付着したDNAが誰のものであるかは片山被告にとって重要だ。残さないように工夫できる指紋と違って、DNAは工夫がほぼ不可能といわれている。さらに、セロハンテープの接着面は、犯人しか触れられない。有罪か無罪を決めるにあたり、接着面のDNAが誰のものかは大きな証拠になる。しかし、鑑定書ではDNAがセロハンテープのどこから抽出されたのか分からないようになっているのだ。

 鑑定書では、抽出されたDNAは片山被告のものではないことが分かっている。接着面に付着したDNAならば、片山被告が犯人ではないという証拠になる。検察は都合の悪いことを隠しているのではないかということを、佐藤氏はSTAP細胞を例に出して、訴えたかったわけだ。

 連日の報道で理系分野に詳しくない人でも、小保方ノートのずさんさを認識している。裁判所も世論も、例えとして理解しやすかったはずだ。小保方氏の研究ノートが、片山被告の無実の手助けをすることになるかもしれない。