「成年後見制度」を暴力団が狙っている

2014年04月12日 08時00分

 認知症のお年寄りや、成人している知的障害者の持つ不動産、財産の管理を後見人がする、成年後見制度が妙なことになっている。厚生労働省が“口出し”してきたことで「被後見人の財産と人権に被害が生じる恐れが出てきた」との声が上がっている。おまけに暴力団が新ビジネスとして狙っているともいわれている。いったいどういうことか?

 今月初めに、長崎・佐世保市社会福祉協議会が「成年後見センター」を設立した。また、月末には北海道の帯広市社会福祉協議会でも「成年後見支援センター」を設立する。年度明けの今月中に各地の社協が後見センターを設立するが、その背景には何があるのか。

“社協”こと「社会福祉協議会」は戦後、市民活動の地域拠点として、米国からの指導で組織化された。主な事業は共同募金やボランティアセンターの運営だが、成年後見事情通は「最近では、認知症高齢者等の財産管理を行う成年後見事業に乗り出そうとしている社協もある」と語る。

 その社協に後見という新たな仕事を作ってあげようと躍起なのが厚生労働省だ。年間3億円の予算を持つ厚生労働省市民後見推進モデル事業の担当者が「社協を使わないならモデル事業の補助金は出さない」と自治体に言い回っているという。

「国を挙げて、役割を終えた社協の生き残りのために、成年後見や認知症高齢者を利用し、社協に予算を付けるのは、金をどぶに捨てる以上に重罪です。劣悪な後見により、被後見人の財産と人権に2次的被害が生じるからです」と話すのは事情通だ。

 東京・品川区社会福祉協議会の品川後見センターは、区の看板と予算を背景に億の売り上げを叩き出している。家裁に選任される法定後見事業に加え「あんしんの3点セット」と称して安心サービス契約、任意後見契約、公正証書遺言作成支援を区在住の高齢者個人に販売している。

 しかし、先の事情通は「本業の後見サービスといえば、お抱え不動産業者を経由して被後見人の家を売却し、お抱え老人ホームに被後見人を入所させるパターンが多い。品川後見センターは信託ビジネスに参入することも視野に入れているようです」と指摘する。

 過疎地の社協後見のモデルとして一世を風靡したのは北海道・南富良野社協だ。しかし、内実は「昨年3月、権利擁護と成年後見を仕切っていた人物が、突如退職した。退職の本当の理由は、2012年度厚生労働省市民後見推進モデル事業の補助金を不正に手を付けたからという声もある」(同)とも。

 最近、成年後見人の弁護士などが横領で逮捕される事件が後を絶たない。また、詐欺事情に詳しいジャーナリストは「これまでホームレスを暴力団が経営するアパートに押し込め、生活保護の住宅扶助費をかすめてた。暴力団たちが最近、目を付けているのが後見ビジネスです」と指摘する。

 貯金と不動産があっても認知症などで自己判断ができなくなった人々が、悪質な成年後見人の食い物にされる可能性があるわけだ。