博報堂DYM部長の「7億円」架空発注詐欺が3年間もバレなかった「業界事情」

2020年11月17日 11時30分

警視庁捜査2課に逮捕された

 広告大手「博報堂DYメディアパートナーズ」(博報堂DYM、東京都港区)に架空のCM制作費を請求してだまし取ったとして16日、詐欺の疑いで、東京都大田区の元同社部長、中島真毅容疑者(43)ら4人が警視庁捜査2課に逮捕された。

 他に逮捕されたのは、いずれも会社役員の大林剛(37)、野田貴大(37)、風間裕一郎(38)の3容疑者。4人は共謀して2018年11月、大林、野田両容疑者が勤務していた広告会社2社に、CM制作を発注したとする架空の請求書を博報堂DYMに提出し、計約3200万円をだまし取った疑いが持たれている。

 4容疑者は16年5月から19年7月、同様の手口で犯行を繰り返し、被害総額は約7億円に上るとみられている。中島容疑者は博報堂DYMで民放テレビ局のCM枠買い付けやCM制作の発注を担当。19年の社内調査で発覚し、同9月に懲戒解雇。今年7月に警視庁赤坂署に告訴されていた。

 なぜこれまでバレなかったのか。

「共犯の大林、野田両容疑者はかつて博報堂DYMに勤務しており、社内事情を知っていた可能性がある。中島容疑者とはそこで知り合い、その後、不正に儲ける仕組みを4人で考えたのではないか。不正に得たカネは風間容疑者の会社に集められ、4人の遊興費などに使われていた」(捜査関係者)

 広告代理店関係者はその特殊性をこう話す。

「テレビCMの制作費は数千万円から億単位までピンキリ。出演するタレントのランクによって出演料も変わるし、演出家や映像作家など、有名どころを起用すれば、その分も制作費は上がるし、相場の価格がない。中島容疑者は架空発注の2社に博報堂DYMから振り込ませる金額を各1000万円台という、さもあり得る金額にして下請け業者と認識させたのだろう。すべてグルだと、業務実態がないのを見破るのは難しい」

 昨年の事件発覚を受け、チェック体制が強化されたという。

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