「医食同源の国」中国の食への探求がまたスゴイ。江蘇省大豊市で昨夏、ゴキブリ養殖場が何者かに破壊され、約100万匹が逃げ出した事件が起きた。このとき、口に入れる「漢方薬の材料として養殖されていたゴキブリ」という点が世界中を驚かせた。

 中国社会に詳しいライターは、さらに仰天の事実を明かす。

「漢方薬の材料としてだけでなく、一般の食材としてもゴキブリは広く利用されてますよ。大きな食品店などに行くと大抵、でっかいガラス瓶に詰めたゴキブリが売られてます。日本のとは違う『ワモンゴキブリ』という、二回りほども大きな種類。足をすべて取っていますから、日本人が見てもゴキブリとは気づきません。『カイコのさなぎだ』と言われれば信じてしまいます」

 このワモンゴキブリは、中国で広く食用・薬用として利用されている。聞けば「もともとは米大陸に分布している昆虫で、中国の固有種ではないため、中国人が食べるために輸入したものと思われます」とのこと。姿でゴキブリと分かれば避けることはできるが、そうとは知らず口に入れてしまうかもしれないのだという。

「中国人は、そのゴキブリを50度くらいの強い酒に入れてゴキブリ酒を作ったり、そのまま酒のつまみにして食べたり、あるいは中華料理の材料にするのです」(前同)

 中国でゴキブリを食べる習慣は、食通としても知られた作家の故邱永漢氏の著作「食は広州に在り」(1957年)で既に書かれている。

 ゴキブリのしぶとさは「地球上の生物が全部滅亡しても、ゴキブリだけは生き残る」などと例えられるが、案外そのゴキブリを食べる中国人はもっとタフかも!?