まだ安心できない農薬混入事件…模倣犯続出の恐怖

2014年01月31日 09時00分

 第2、第3の混入事件が起きる!? 食品大手「マルハニチロHD」の子会社「アクリフーズ」群馬工場(群馬県大泉町)の冷凍食品農薬混入事件は、同工場契約社員の阿部利樹容疑者(49)の逮捕で一件落着したかのように見えるが「まだ安心はできない」との声が上がっている。日本中に点在する食品工場で、賃金や待遇に不満を抱く者による模倣犯罪が起きかねないというのだ。

 食の安全をおびやかされたことは、もはや一企業の問題ではない。「食」に対する不安拡大を受け、県では29日に食品安全県民会議を開く。立ち入り調査の結果や、これまでの事件の経緯などが報告されるという。また、同工場では、他の社員にも動揺が広がっている。

「テレビ局のインタビュー取材を受けた社員が、本人を特定できるような形で放送されてしまったことで大問題になったそうだ。社員たちはナーバスになっている」(事情通)

 それは、いまだに「内部複数犯説」がささやかれているからだ。確かに現時点では、今回の事件が単独犯とは決めつけられない。待遇に不満を持っていた社員が阿部容疑者だけとは限らない。会社や警察の目に付く行動を控えたいのが、他の社員たちの本音だろう。

 この事件は、弱者とされる者が所属する企業のトップのクビを取り、数十億円もの大打撃を簡単に与えられる“恐怖のモデルケース”となってしまった。

「何も持たない立場の弱い者がトップを落とせる事例が出た。各都道府県別の最低時給で何年働いても待遇がまったく変わらないという、格差社会の悲惨さにあえぐ非正規雇用者に与えた影響は大きい。2008年3月に土浦連続殺傷事件に触発され同年6月に秋葉原事件が続き、その影響を受けて10年のマツダ本社工場連続殺傷事件が起きたとされている。今回も触発されて、模倣犯が出ないとは限らない」(法曹関係者)

 50代手前にして月給12万円でラインに流れてくるピザを8年間も見つめ続けた阿部容疑者のように、いつか怒りを爆発させる“第2、第3の怒れる者”が登場する可能性は、むしろ高いかもしれない。人の口に入るものを作っている食品加工工場などは、命を握っている場所でもあるだけに、非常に高いモラルが求められるべきだ。

 にもかかわらず、実際は時給が低く、待遇に不満を持つ人が少なからずいる場所でもある。

 人気漫画「ワンピース」のコスプレで青いスクーターを駆っていた阿部容疑者の姿は工場近郊の太田市内でかなり目撃されている。ただし「目つきや見た目が危ない」という理由で多くの人が接触を避けていた。

 実際、逮捕前には“危ない”素顔がのぞいていた。カブトムシやクワガタの飼育・販売以外にもパチンコという趣味を持っていたのだが、自宅が建つ太田市の隣の館林市のパチンコ店では「ブラックリスト入り」していたというのだ。

「店内で騒ぎを起こしたことで『このオジサンが店に来たときは要注意』と書かれた顔写真が、店のバックヤードに貼られていたと聞いた」(パチンコ店関係者)

 客がブラックリスト入りする条件は設備を破壊したり、客の玉を盗んだりしたときだ。「他の客といざこざを起こしたことで要注意人物に指定されたみたいだ」(同)という。迷惑をかけていたのはパチンコ店だけではない。

 某ゲームセンターでは“出禁”になっていた。

「暴力団や暴走族の入店は禁止されている。男性の格好がそういう人のものと似ていたので退店させたそうだ」(ゲーセン関係者)

 背中に「正義」と書かれた白いガウン姿が、特攻服と認識されたようだ。

 地域のお騒がせ有名人だった阿部容疑者は、いまや日本全国を不安に陥れた男として、警察の取り調べを受けている。