オウム厳戒裁判に穴!金属探知機すり抜けた例も

2014年01月23日 08時00分

 厳重に見えるが、まだ完璧じゃない!? 東京・目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(68=当時)拉致事件の逮捕監禁罪などに問われたオウム真理教の元幹部平田信被告(48)の裁判員裁判の第4回公判(21日、東京地裁)に、元幹部中川智正死刑囚(51)が証人として出廷した。法廷で死刑囚の尋問が行われるのは異例中の異例で、裁判員裁判では初となる。この日は初公判から厳重だった警備がさらにすごいことになった。それでも専門家に聞くとまだ危ないという。いったいなぜか?

 厳重警備ぶりは国家の要人クラスと同等か、それ以上だった。証言台の中川死刑囚の周りには遮蔽板。傍聴席と法廷の間には防弾性アクリル板が立てられた。数人の裁判所職員の他、傍聴席から見える範囲で刑務官が10人以上。検察席に座る被害者遺族の仮谷実さんによると、遮蔽板の中の中川死刑囚の両脇と後方にも、4人の刑務官がいたという。

 これだけ警備を厚くするのも、死刑執行までの心情の安定を図るという規則によるものだ。だが、それ以上に「オウム真理教による事件」の特異性も加味されていることは間違いない。

 傍聴人は入廷前に幾重もの身体検査を受ける。裁判所がテロリストによる襲撃などの“万が一”を警戒していることは明白だ。「オウム憎し」と考える人は多い。一方、脱会した死刑囚や被告人らを憎むオウム系の現信者もいないとは限らない。

 本紙既報通り、傍聴人はまず携帯電話や撮影・録音機器を預ける。さらに金属探知機検査とボディーチェックがなされる。チェック係が脚の付け根から足首まで手で触って調べるのだ。女性の胸も係が手の甲でソフトタッチする。

 こんな警備態勢に、まだ穴があり危険だと指摘するのは、オウム事件の捜査に協力した元刑事で危機管理コンサルタントの北芝健氏。「股間部分に武器を隠し持って入ることはできる」と話す。確かに男性の股間部分はノーチェックだった。

 また、探知機で反応しない物質は多い。「バネでセラミック製の刃を飛ばす隠し武器もある。液体も武器になる」(北芝氏)。実際、液体である目薬には探知機がほとんど反応しなかった。

 この裁判が始まってからすでに「女性の傍聴人が袋の中に携帯電話を持ち込んで入廷した」(司法関係者)という。女性は知らずに持ち込んでしまったようだが、探知をすり抜けたことが問題。携帯電話以外にも持ち込みは可能ということになる。

「例えば、袋に入れた強い酸性の液体をパンツにしのばせて、傍聴席から山なりに投げて当たれば、失明などの大ケガはさせられるでしょう」(北芝氏)。アクリル板は高さ約180センチ。横からの攻撃は防げても、上からは防げない。加えて、内部の刑務官にも緊張感が足りない。
「3日目の公判では平田被告の横に座る刑務官があくびをかみ殺したり、目をつぶったりして寝てるように見えた」(傍聴人)

 昨年末には公安調査庁がオウム真理教(アレフに改称)と「ひかりの輪」を合わせた信者数が昨年から150人増加したことを公表した。一般人が生活する横で、信者が着々と増加傾向にあることも不気味だ。

 中川死刑囚は2011年末に出頭した平田被告について、「臆病で出てこられなかったのでは」と話した。2人はかつて「警察に押収されてはいけないものを埋めるため」一緒に山奥にいた。「山道を暴走族がのぼってきたら、平田被告がものすごいスピードで、ウサギが飛びのくというか、山道の地面に顔を付けていた。大丈夫だよと言っても顔を上げなかった」と明かした。

“臆病”だった平田被告でさえ犯罪に手を染めたのは事実だ。一般人に見えるからといって何をするかわからない。あと2人の死刑囚の証人尋問が2月3~5日に予定されている。