大阪市の投資会社「スピーシー」にまつわる450億円もの巨額詐欺疑惑に進展はあるのか。

 2012年1月に三菱東京UFJ銀行の行員からスピーシーへの投資を持ちかけられ、約3億8000万円を投資したが、配当や返金はほとんどなかったとして、東京都の女性(79)が行員と同行に3億8000万円の損害補償を求め東京地裁に提訴したことが騒動になったのは昨年11月のことだった。

 そこで注目を集めたスピーシーによる全国の被害者の損失総額は450億円以上に達するとみられている。高額の配当、金銭消費貸借契約による元本保証をうたい、ネットワークビジネスシステムで個人投資家から巨額の金額を集めたものの、12年初夏に破綻。理由を発表しないまま弁護士事務所を介して暫定返金。別会社で併存的債務引受をする和解書を交わして分割返金を始めたものの、滞っている。

 悪質な詐欺の手口を見つけ出し、公開しているサイト「詐欺退治ドットコム」運営者は「九州ではスピーシーの配当が止まり、実損金返金も滞っているので、自殺者も出た模様。自殺者の周辺の取り調べに福岡県警と大阪府警も動き始めました」と語る。

「実際に初期からの投資家には高額配当が支払われました。通帳に振り込まれた高額配当を見せて、ネットワークビジネス方式に投資家が投資家を紹介して投資させます。スピーシーはその集めたカネを運用せず、カネの一部を高額配当と装って支払っていた可能性が高い。こうした手口は自転車操業状態になって破綻するのが伝統です」と同運営者。

 中には本当にもうかった客もいるため、警察は動きが取りにくい。その間にも被害者が増えていく傾向にあるのが経済事件の難しさだという。