テロリスト安重根銅像格上げの愚挙

2014年01月08日 16時00分

 韓国のMBCテレビは6日、中国が、初代韓国統監の伊藤博文(1841~1909年)を暗殺した独立運動家・安重根の銅像を、暗殺現場である中国黒竜江省のハルビン駅に建てることを決定したもようだと報じた。中韓両国は朴槿恵韓国大統領(61)の提案に基づいて安重根の石碑を建てる計画を推進しているが、安倍晋三首相(59)の靖国神社参拝などへの反感を強める中国が、石碑から銅像に「格上げ」したという。MBCの報道が事実なら、中国が韓国と歴史認識問題での対日共闘を促進したい思惑がありそうだ。

 


 初代内閣総理大臣の伊藤博文は、朝鮮半島を統治する朝鮮総督府の前身である韓国総督府の初代統監を務めたことから、韓国では当時から嫌われている。


 韓国の民族運動家だった安重根は1909年10月、伊藤を訪問先の中国東北部ハルビンの駅ホームで射殺。現場で捕らえられ、10年3月に中国・旅順で死刑が執行された。韓国併合は同年8月に行われた。安重根は、当時結ばれた日韓協約を通じて韓国の外交権が接収され、保護国化が進んだことに反発していた。


 韓国事情に詳しいジャーナリストは「そもそも伊藤博文は朝鮮の清(当時の中国)からの独立を望み、併合に最後まで反対していた人物。その反対派の伊藤が暗殺されたから、併合が加速化されたんです」と指摘する。


 日本側では「テロリスト」「犯罪者」として取り上げられることが多い安重根。韓国では、伊藤を暗殺したことで“日本の植民地統治に抵抗した人物”として尊敬され「義士」と英雄視されている。ソウルには記念館が建ち、海軍は「安重根」と名づけた潜水艦も保有する。そんな歴史上の人物がいま、慰安婦や尖閣諸島をめぐる問題で日本との溝が深まる韓国と中国にとって、シンボルに祭り上げられた。


「これでは中韓政府が公式に“暗殺”という犯罪を奨励しているようなもの。両国は、自分の正義を信じていれば、拳銃で人を殺しても将来、英雄になれる可能性がある社会になってしまったのです」(同)

 

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囁かれる朴大統領暗殺危機説
 安重根をめぐる問題は昨年6月末、訪中した朴大統領の発言に端を発する。習近平・中国国家主席(60)に対し、「韓国と中国の両国民から尊敬される歴史的人物だ」としてハルビン駅に石碑を建てるよう要請。同7月にソウルで開催されたサッカー男子の東アジアカップ・日本VS韓国では、観客席に安重根の肖像画と横断幕が掲げられる事態を呼んだ。


 11月には菅義偉官房長官(65)が石碑建立問題で「安重根は犯罪者だと韓国政府にこれまでも伝えてきている。このような動きは日韓関係のためにならない」と韓国を批判。


 韓国外務省の報道官は「安重根義士はわが国の独立と東洋の平和のため命をささげた方。日本が当時、周辺国に何をしたかを振り返れば、官房長官のような発言はありえない」と反発し、この問題は日韓間の新たな火ダネに。米政府は両国に対話による友好的な解決を促している。そして今回の中国による「銅像への格上げ」報道だ。


 中国では官僚の汚職が大問題となり、共産党に対する民衆の怒りが爆発寸前。数百億円規模の汚職事件は珍しくない。かつての最高指導部メンバーで、党が汚職容疑調査決定を近く発表する予定の周永康・元党政治局常務委員(71)にまつわる金額は1000億元(約1兆7000億円)とみられる。一方の韓国では経済危機が勃発。株価が急落し、失業者やホームレスが街にあふれ出している。恨みつらみは、朴大統領に集中し、暗殺危機説までささやかれている。


 銅像建立情報には民衆の政府に対する怒りを反日でごまかす面もあるのだろうが、ここまでくると、もはや付ける薬もないようだ。