防犯困難な警備中の窃盗で逮捕 加害業者と被害業者それぞれの事情

2020年08月26日 11時30分

 管理する鍵を使い、警備員が盗みを働く――これは防ぐことが難しい。

 東京都千代田区のビルを警備中に弁護士事務所に侵入し、現金を盗もうとしたとして、警視庁丸の内署は25日までに、窃盗未遂と建造物侵入の疑いで、警備会社「ALSOK東京」社員の梅山了太容疑者(26)を逮捕した。

 同署によると、ALSOKが管理するマスターキーを使い、制服姿で事務所内を物色していたとみられ、梅山容疑者は「複数回侵入し、現金を取った」と容疑を認めているという。これまでに計約200万円がなくなっており、関連を調べる。

 逮捕容疑は7月22日午後8時半ごろ、千代田区のビルに侵入し、金品を盗もうとした疑い。防犯カメラ映像で発覚した。

 コロナ禍の警備業界について、警備会社社員はこう不満を漏らす。

「世の中で在宅勤務が増え、マンション、ビル管理人、警備会社は仕事が忙しくなっています。それでも、報酬はほとんど変わりません。良心的な会社で、コロナ禍手当で数万円を月給に上乗せしてくれる程度。クライアント様が警備会社に高いお金を払っても、現場の人間は薄給なのです」

 テレワークによるトラブルも増えている。

「普段は夜に帰宅していた男性が近所に外出する際に鍵を自宅に忘れ、家族が不在の場合、警備会社に連絡して開けてもらうケースが増えています。炎天下にバイクで駆けつける回数が増えるのです」(同)

 とはいえ、どんな事情があっても契約先への盗みは許されない。

 被害に遭った弁護士業界ならではの事情もあるようだ。

 法律事務所関係者は「コロナ禍やお盆休暇などで裁判所も業務がストップするので、弁護士事務所も休暇にするところが少なくありません。クライアントから受け取った着手金、示談金用の資金など、金庫にはまとまった金額がある。弁護士会では、預かり金を金庫に入れるように推奨しているのに、金庫がない事務所も少なくないので、今回のように引き出しに百万円単位を入れている事務所も散見されます」と話している。