汚染だけじゃない!コントロールされていない「原発テロ対策」

2013年10月07日 11時00分

 福島第1原発で連日、高濃度汚染水の漏れ出しが判明し、安倍晋三首相(59)の「アンダーコントロール(管理下にある)」発言が改めて大ウソだったことが浮き彫りになる中、懸念されるテロ対策でも「アンダーコントロール」と言えない危うい状況に置かれている。

 原発のテロ対策は、9・11米同時多発テロ以降、重点事項に指定され、警察の機動隊銃器対策部隊が24時間態勢で警戒に当たっている。12年前からはサブマシンガンを携行しているものの、専門家からはテロ犯と対峙するには装備の貧弱さが指摘されている。また、これまでは原子炉建屋や制御室の防護に重点が置かれていたが、福島原発事故で冷却システムや電源設備が破壊されれば、重大事故につながるもろさを露呈した。警備人員や警護車両などを増強しているが、十分な警備態勢とはいえないため、自衛隊の常駐も検討されている。

 3日に東京ビッグサイトで開催された「テロ対策特殊装備展」では、警察庁の地方機関の警察局や原子力規制委員会の幹部が出席したセミナーでも原発テロ対策がテーマとなり、原発施設内への出入場者のチェック態勢が論議された。国際テロ事件では、ターゲット対象の内部に、情報提供者がいたり、共犯者が潜入したケースがあった。

 米国や欧州ではテロ抑止のために、施設に出入りする技術者や労働者の家族構成から薬物・犯歴、政治思想、借金などまで細かにチェックしている。一方、日本は身分証一枚だけ。施設の中へ入ってしまえば、福島では汚染水が漏れ出している現場にも場合によっては、足を運べる状況だ。

 公共政策調査会の板橋功氏は「(作業員の)適格性のチェックが取られていないのは先進国で日本だけ」と危機感を募らせる。ただ、日本での身分照会には、個人情報流出や人権侵害を理由に反対意見が噴出し、国側も身元チェックする主体が警察なのか、原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁なのか、事業者に委託するかで意見が分かれており、議論は進んでいない。汚染水同様にテロ対策も穴だらけなのが現状だ。