米人種差別デモ背景を専門家が解説「日本も対岸の火事にしないで」

2020年06月04日 16時00分

全米に広がる大規模デモ(ロイター)

 全米に広がる大規模デモについて、佐賀大学の特任教授で米社会文化を研究している早瀬博範氏は「アメリカでは、白人警官による黒人への暴力や死亡事件が絶えず起こっている。今でも同様の事件は頻発しており、根強い問題として常にある。しかも、これが『法に基づいた正当防衛』と判断されることがあるため、市民は正当に処罰が行われていないとして不信感を持っています」と説明する。

 黒人男性が白人警官に暴行され死亡した事件発生から1週間が過ぎても、抗議デモや略奪は過激さを増している背景を早瀬氏はこう分析する。

「新型コロナによる厳しい対策で、黒人を含むマイノリティーの人々の大量失業、生活困窮者の増加が、政府への不満として積み重なり、全米的な暴動に発展した。さらに火消し役に回るべきトランプ大統領が『略奪が始まると、発砲が始まる』とツイートしたことが『暴力の賛美』だとして、抗議デモの火に油を注いだ形となりました」

 事件で亡くなったジョージ・フロイドさんの弟は「抗議デモは平和に行ってほしい」と訴えた。

「激しい暴動が鎮静されるためには、フロイドさんを死亡に至らしめた警官に、それ相当の罪を与えるように早急に手続きをすることが必要。それらを大統領が声明として出し、今回のような人種偏見による警官の暴力に対して厳しく当たるということを明確に市民に対して約束すべきです」

 また日本でもこの事件を「対岸の火事」としないことが大切だという。

「アメリカでは、統計的に犯罪者は黒人が多いので、警官も過剰に対応するという風潮があります。差別や偏見は、簡単にはなくならないものです。多くの日本人は、人種の違いとはあまり関係しない状況で生活をしている点がありますが、今後は日本の国際化のためにも今回の事件をしっかり学んでおくことが大事ではないでしょうか」

 日本でもこれを機に、マイノリティーへの理解を深めることが大切だ。