長野姉弟殺人で近隣住民が“本音”「助けられた命だったのでは」の声

2020年05月29日 16時00分

 長野県坂城町の市川武範さんの住宅で26日、長女杏菜さん(22)と次男の直人さん(16)、住所不詳の暴力団関係者で市川さんの長男への傷害容疑で逮捕状が出ていた小沢翔容疑者(35)が死亡した事件で、市川さん一家には、県警が暴力団関係者からの危害を防ぐため、避難を勧めるなど保護対策をしていた。県警担当者は「警察としてやるべきことはやった」と話すが、住民からは「近所にも注意喚起すべきだった」「助けられた命だったのでは」と複雑な思いが聞かれた。

 杏菜さんと直人さんを殺害し、自殺したとみられる小沢容疑者。事件前の24日には、自身の元妻を巡ってトラブルが生じた可能性がある市川さんの長男に暴行した疑いが持たれ、長男は25日に被害を届けていた。

 県警は長男だけでなく、家族全体への攻撃を危惧し、長男を別の場所に保護するという対策を取っていた。家族を「保護対象者」として、110番があったらすぐに警察官を派遣するなど、迅速に対応できるような措置を取っていたという。

 しかし、結果的に2人が自宅で亡くなった。事件当時、市川さんも不在だった。妻は在宅していた。

 近所の農業男性(69)は「近隣住民に協力を求めていたら、救われたのではないか。『不審者が近づいたら連絡して』と注意を促すべきだった」と肩を落とす。別の農業男性(72)は、県警の保護対策について「2人が殺されることまでは事前に分からなかったのではないか」としながらも、「本音としては命を守ってほしかった」と打ち明けた。

 事件は26日午後11時15分ごろ、市川さん宅から「けが人がいる」と119番があり、駆け付けた警官が杏菜さんと直人さんのほか、小沢容疑者を発見。いずれも頭を負傷し、病院に搬送されたが死亡が確認された。現場には拳銃のようなものが2丁残されていた。