植松被告 最後の被告人質問でも…被害者家族の傍聴が少ない背景

2020年02月07日 16時00分

 被害者家族には想像以上の苦しみがある。神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、2016年7月に45人を殺傷して殺人罪などに問われている元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判が6日に横浜地裁で開かれ、最後の被告人質問が行われた。被害者家族の代理人らが質問に立った。

 前日は自身の両親についての質問に答えなかった植松被告だが、この日は犯行計画を事前に両親に伝えたところ「悲しむ人がたくさんいる」と止められたと証言。家庭についても「不自由なく生活させてもらった」と話した。

 この日は通常の公判と異なり、被害者が甲B、乙Cなどと記号で表され、傍聴席に用意された被害者家族・遺族の席にはついたてが用意され、一般傍聴人からはわからないようになっている。用意されたのは約30席だが、関係者によると6日は5家族9人が傍聴。これまでの公判も同程度だった。その代わりにそれぞれの代理人が出席しているという。

 被害者家族・遺族が傍聴しないのはなぜか。植松被告と同じ時期ではないものの、やまゆり園で働いていた元職員は心境をこう思いやる。「匿名で裁判が行われることに批判的な意見があるといいますが、被害者家族が安心して話せるような社会ではないのです。やはり冷たい目があります。ご家族の中には近所の人にも(入園者のことを)言ってない人がいる。(家族が表に出ることで)マスコミが家に押し寄せるようになってしまうかもしれない」と偏見や差別があるゆえだという。

 一方、被害者家族の尾野剛志さんは「人間のカケラもない答弁しかなかった」と4日間の被告人質問を振り返った。

「重度障害者は殺すべき」などの植松被告の心ない差別思想を間近で聞いたら、被害者家族がさらに傷つくことも考えられるという側面もありそうだ。判決は3月16日に言い渡される。