被害者家族の質問を事前に却下 冗舌だった植松被告“NG事情”とは

2020年02月06日 16時00分

 いつもは淡々と話す被告がNGを通告した。

 神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、45人を殺傷して殺人罪などに問われている元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判が5日、横浜地裁で開かれ、被害者家族が質問に立った。しかし、同被告は事前に、いくつかの質問事項にNOを突き付けていた。

 この日、質問に立った尾野剛志さん(76)の長男(46)は首や腹を刺され、一時は意識不明になる重傷だった。尾野さんは質問事項を入念に準備。なぜ植松被告が「重度障害者は殺すべき」という考えに至ったかについて、成育過程に何かきっかけがあるのではと考え、両親についての質問をしようとしていた。

 だが、裁判所に質問事項を伝えたところ、事前に弁護団から「その質問には答えられない」と返事があった。「弁護団によると、被告は『両親と事件は関係ない』と言っているというのです。初公判で指をかみ切ったことも聞こうと思っていましたが、これも事件に関係ないと却下されました」(尾野さん)

 これまでの公判で植松被告は冗舌だった。「大麻は素晴らしい草で深く感謝しています」と大麻解禁論をブチ上げ、安楽死の導入も提唱。「避妊を当たり前のものにするために、コンビニでピルを買えるようにする」とも語っていたが…。

 結局、尾野さんは「親とは、どんなところに行きましたか」とだけ聞けたが、植松被告は「申し訳ありませんが、特に言う必要はないかと思います」と答えなかった。尾野さんは「『話す必要がない』というのは逆に親には何らかの感情があるのでしょう」と残念がる。

 また、弁護団としてもNGにしたい事情があったようだ。「子供時代のことを突っ込んで聞いたら、両親の影響という話が出てくるかもしれない。そうなると困ると弁護団は思ったのだろう」と尾野さん。

 弁護団は、大麻精神病により犯行時は心神喪失または心神耗弱だったとして無罪を主張しており“大麻以外に事件に影響を与えたもの”が出てきては困るようだ。