高橋容疑者〝やぶれかぶれテロ〟の恐怖

2012年06月14日 18時00分

 姿をくらましたオウム真理教元幹部の高橋克也容疑者(54)の足取りが依然つかめない。勤務先の社員寮の部屋には、防犯カメラの機種別の性能を説明した雑誌「防犯バイブル」(2009年4月発行)が残されており、駅や街頭の防犯カメラを警戒し、映りにくい経路を選んで逃走しているとみられる。支援者や協力者にかくまわれたか、事前に用意していた潜伏先に移動した可能性もある中、恐れられている最悪シナリオとは――。

「高橋容疑者がどんなに危険な男だったか忘れられている。サリン事件ではサリン実行犯の運転手役を務め、その5日前にはボツリヌス菌を入れたアタッシェケースを霞ケ関駅に仕掛けた男。追い込まれた状況で何をしでかすか分からない」と話すのは警察関係者だ。

 捜査当局が注目しているのは、高橋容疑者の社員寮から押収された「呪術の体験」「夢見の技法」「チベット死者の書」などの精神世界を扱った本だ。逃亡から17年たった現在でも元教祖麻原彰晃死刑囚からの洗脳が解けていないとなれば話は厄介になってくる。

 危惧されているのは2000年に起きたロシア人のオウム信者が引き起こした「麻原奪還計画」の再現だ。日本でテロを起こし、東京拘置所に収監されている麻原死刑囚をロシアへ連れ出す計画だったが未遂に終わり、信者5人が逮捕された。いまだ麻原死刑囚に帰依する隠れ信者は多いといわれ、最後のオウム逃亡犯となった高橋容疑者が尊師奪還まではいかなくともテロや事件を引き起こす可能性は否定できないのだ。
 さらにオウム逃亡犯をめぐっては、こんな話がある。

「林泰男死刑囚やオウム幹部が逃亡した際にサリンの残留物を所持して逃走した疑いがあった。実際に林死刑囚が捕まった際にサリンは出てこなかった。平田信被告や高橋容疑者の手に渡ったのではないかといわれた」(オウムウオッチャー)。ほかにもオウムがサリンの前に化学兵器として使用していたVXガス250キロ分の行方が分かっていない。

 高橋容疑者が万が一、猛毒ガスの隠し場所を知っていて近づいているとしたらこの先、何が起こるか想像もつかない。ただ逃げ惑っているだけとの楽観は禁物のようだ。