元ソフトバンク部長 まるで映画のような「機密情報漏えい」の裏

2020年01月27日 16時10分

 ソフトバンクの機密情報をロシア側に漏えいしたとして、同社元部長(48)が不正競争防止法違反容疑で逮捕された事件は、スパイ映画さながらの接触、接待工作があった。

 容疑者は昨年2月18日、勤務していたソフトバンクのサーバーにアクセスし、営業秘密の機密情報など2点を不正に取得した疑いがもたれている。警視庁公安部の調べに「情報を渡した。小遣い稼ぎのためで、現金をもらったことがある」と容疑を認めている。ロシア側に情報を渡し、数十万円を得ていた。

 ソフトバンクは容疑者が事件当時、設備構築業務の省力化を推進する部門のモバイルIT推進本部無線プロセス統括部長だったと明かし「持ち出された情報は機密性が低く、客の個人情報や通信の秘密に関わる情報、取引先に関する情報は含まれていない」とのコメントを発表。捜査当局からの連絡を受けた後、昨年12月中旬に懲戒解雇していた。

 ロシア側のスパイ活動は映画さながらだった。数年前に、在日ロシア通商代表部元職員の40代の男と容疑者は街中で出会った。偶然を装って計画的に近づき、飲食店などで接待や現金提供を繰り返し、情報の要求を重ねたとみられる。

 40代の男は2017年に帰国する際、容疑者に50代の男を後任として紹介。2人とも代表部職員の身分を明かさず、容疑者に欲しい情報の内容を伝えていた。要求内容などから、同容疑者は「スパイかもと思った」と話している。

「2人はロシア対外情報庁(SVR)に所属する情報機関員とみられる。通信設備は日本の重要なインフラなので、将来を見据えて後任に引き継ぎまでしたのだろう。偶然を装い、接触するのはロシアの情報機関員の常とう手段。見返りは現金、飲食接待のほか、ロシアンクラブなどでの性的接待などもあるといわれる。ソフトバンクだけでなく、日本のインフラや先端技術を担う企業の幹部にも接触するケースもある」(捜査関係者)

 警察当局は外務省経由で在日ロシア大使館に2人の出頭を要請中だが、50代の男は外交特権があり、帰国する可能性がある。これに対し、在日ロシア大使館は「残念ながら、欧米で広まった目新しさに欠けるロシアに対するスパイ疑惑に日本も加わった」と日本の捜査当局を批判するコメントをSNSで発表した。