相模原事件第3回公判で重大変更 被害者の実名公表が認められた意味

2020年01月16日 16時00分

 ようやく遺族の願いが裁判所に通じた。神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員の植松聖被告(29)の裁判員裁判の第3回公判が15日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれ、これまで「甲A」だった殺害された被害者が「美帆さん」と呼ばれるようになった。

 美帆さん(19=当時)の母親は初公判直前に名前を公表。この日の公判では美帆さんの母親の調書が読まれ「なぜ美帆だったのか聞きたい。とにかく美帆を返してほしい」と訴えていた。美帆さんは障害があり言葉を発することはできなかったが、周囲の会話を理解でき、感情表現をすることができていたという。

 この公判では被害者特定事項秘匿制度により、一部を除き多くの被害者が死亡者を甲〇、負傷者を乙〇と呼ばれることになっている。〇に入るのはアルファベットだ。

 過去2回の公判では美帆さんも甲Aと呼ばれていた。津久井やまゆり園の入倉かおる園長は「(第3回にして)認められたんだなと。お母さんの思いが通じてよかった」と話した。

 被害者が匿名で進む裁判には違和感を持つ人もいる。公判を傍聴した、障害のある人をサポートするNPO法人関係者の女性は「一番被害に遭っているのは亡くなられた19人の方。彼ら彼女らが匿名となり、存在していなかったかのような扱い方は残念です」と嘆く。

 もっとも遺族の希望があって匿名になっていることも重々承知だ。

「二次被害を避けるということですが、二次被害とはどういうことかを世の中のみんなが考えないといけない」と差別や偏見をなくすことが大事と同女性は話した。

 この日、植松被告は前回と同じく両手に手袋をして出廷。読み上げられる調書に耳を傾けていたが本心はまだ見えない。