かんぽ生命 不適切販売の裏で「お前は寄生虫だ」パワハラ証言も

2019年12月19日 16時00分

 今年の「ブラック企業大賞」(23日発表)のノミネートから外れたかんぽ生命だが、その資格はあったかもしれない。日本郵政グループがかんぽ生命の保険に不適切な販売があった問題で特別調査委員会の報告書を発表。法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が約1万2800件あったという。

 顧客に不利益を与えるかもしれない契約を結びまくるとはブラック過ぎるが、同賞ノミネートは逃れていた。同賞関係者は「ひどい会社だとは思うが、長時間労働など労働者の問題とは違う」と説明していた。

 しかし、調査委員会が行った動機の分析で、かんぽのブラック体質が判明。不適切販売の背景には、過剰なノルマがあると指摘されることが多かったが、調査委員の早川真崇弁護士は「ノルマが不正に直結していない」と否定した。

 好成績の社員は営業手当を得るために不正を行い、成績の良くない社員は厳しい指導を受けるのを回避するために、やはり不正に手を染めていたという。

 後者についてのヒアリングは生々しい。課長が郵便局を巡回し、ほかの社員がいる前で成績が低い社員に対して「お前は寄生虫だ」と罵倒。泣き出す社員もいれば、退職する社員もいたという。また、成績が低い社員向けの研修があり、渡された原稿を一字一句覚えるまで研修を強制されるなどの嫌がらせがあった。これらを回避するために不正が行われた側面があったわけだ。

 記者会見した長門正貢・日本郵政社長は「土下座をさせたとか、屈辱的な研修会をしたとか『もう来るな』とか、パワハラ的なことがあったとは聞いている。きちっと対応したい」と話し、社内風土改革を訴えた。

 そのために経営責任を明確にしないといけないが、長門氏が会見中に辞任を口にすることはなかった。パワハラが背景にあったと判明した以上、信頼回復の道筋をつけないと、来年こそブラック企業大賞候補である。