新幹線殺傷犯「無期」判決に万歳三唱 小島被告の法廷での演技と死刑回避

2019年12月19日 16時00分

 演技の可能性を残したまま、最後まで傍若無人な振る舞いだった。

 東海道新幹線で昨年6月、乗客の男女3人が殺傷された事件の裁判員裁判で、殺人や殺人未遂の罪に問われた小島一朗被告(23)に、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を下したが、同被告はこの判決に、証言台の前で万歳三唱した。

 裁判長が「一生刑務所に入るためとの動機は、あまりにも人の命を軽視し身勝手だ」と判決を言い渡し、控訴に関する説明を終え、小島被告に自席に戻るよう促すと「控訴はいたしません。万歳三唱します」と突然万歳を始めた。「被告人は元の席に戻りなさい」。強い口調で制止したもののやめない同被告に、裁判長は閉廷を宣言した。

 判決理由では、無差別殺傷目的で走行中の新幹線という逃げようのない場所を選ぶなど計画的犯行だったと認定。止めに入った兵庫県尼崎市の会社員梅田耕太郎さん(38=当時)を少なくとも78回切りつけており「強固な殺意に基づく残虐で悪質な犯行だ」と強調した。

「猜疑(さいぎ)性パーソナリティー障害」と診断された小島被告は、物事を被害的に受け取る傾向が強く「家出などで孤立感を強め、精神的に追い詰められた」と指摘。障害が動機形成に影響を与えた可能性があるが、無差別殺人という選択には、直接影響していないと結論付けた。

 法曹関係者は「精神鑑定医が『あえて冷徹に振る舞う傾向がある』と証言した通り、法廷での発言は演技も含まれていると思われるが、それで死刑判決は出せない。法廷を愚弄された裁判長も忸怩(じくじ)たる思いだろう」と話す。

「3人殺せば死刑になるので、2人までにしておこうと思った」「有期刑だったら出所後に必ず人を殺す」「刑務所で更生することは全くない」と衝撃発言を繰り返した小島被告。裁判長は「事件に向き合っているとは言えず、厳しい非難を免れない。刑務所での服役の日々を送らせ、刑責の重さに向き合わせるのが相当だ」とした。

 犯行から判決まで同被告の希望通り、法律はなすすべなしとなった。