東電OL殺害再審決定で新局面

2012年06月11日 12時00分

 1997年に東京・渋谷で東京電力のエリート女性社員(39=当時)が殺害された事件が、新たな局面を迎えた。東京高裁は強盗殺人罪で2003年に無期懲役が確定したネパール人男性ゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(45)側が請求していた再審の実施と刑の執行停止を決定し、マイナリさんは釈放された。対する検察側は異議を申し立て、徹底抗戦の構えだ。

 

 東京高検の動きは早かった。7日、午前10時ごろの再審決定を受けて11時に開かれた弁護団の記者会見で「もしこれが異議(申し立て)をされるなら、我が国の刑事裁判の歴史に汚点を残す」と石田省三郎弁護士が訴えた数時間後に異議申し立て。10時45分には、伊丹俊彦次席検事名で「到底承服しかねる」とするコメントを出していた。

 

 冤罪に詳しいジャーナリスト今井恭平氏は「再審決定に刑の執行停止がついたのは画期的。死刑事件の再審決定では執行停止がつくけれど、無期懲役での執行停止はあまりない。裁判所が無罪の心証を持ったから、執行停止となったのだろう」と語る。

 

 再審決定は弁護団の従来の主張に沿った内容だった。事件現場のアパート室内に落ちていた陰毛と、被害者の体内に残されていた精液のDNA型が一致し、マイナリさんの型とは異なるという新鑑定結果などを評価し、別に犯人がいる可能性を認めた。また高裁は高検による「執行停止決定」自体をやめるよう求める申し立ても却下。弁護団は「最高の結果」(佃克彦弁護士)と評価した。

 

 検察の異議申し立てについて弁護団関係者らは「検察のメンツだろう」と冷ややかな反応。「立場上『やっておかなければ』ということでは」(佃氏)というわけだ。