首里城全焼で懸念されるインバウンンド需要 東日本大震災の前例から予測すると

2019年11月02日 16時00分

 那覇市の首里城で主要施設の正殿などが焼失した火災で、火元とみられる正殿内に出火直前、外部から侵入した形跡がなく、沖縄県警が放火の可能性は低いとみていることが1日、分かった。正殿内に設置されていた防犯カメラの映像を解析するなどし、判断した。

 首里城を管理する沖縄美ら島財団の花城良広理事長は1日記者会見し、「ご迷惑をお掛けし、深くおわびする」と謝罪。首里城の建物群で収蔵している1500点以上の絵画や漆器などのうち、400点超が焼失した可能性があることも明らかにした。

 首里城の全焼は、アジア諸国にも大きな衝撃を与えた。沖縄は中国人や台湾人にとっては身近で、親しみのある外国だからだ。台北在住の記者が解説する。

「南シナ海の地図を見るとよく分かるが、中国大陸と台湾、それに本州に囲まれた場所に浮かぶ琉球諸島はこの海域の中心地。古くから交易の拠点だったが、現代ではLCCのハブとしてアジア各国と結ばれ、大きな位置を占めている。日本本土に行くよりも距離が近く、安価に旅行できる沖縄は、台湾人や中国人にとっては格好の“週末旅”の目的地」

 県によれば、2018年度は外国人観光客がはじめて300万人を突破(前年比11・5%増)。そのうちおよそ120万人が台湾や中国からのクルーズ船による海路での入国だ。

 外国人観光客の目的は美しいビーチや国際通りなどでのショッピングだが、本土とは異なる沖縄独自の文化に触れることも人気が高い。その中心ともいえる場所が首里城だった。

 火災は台湾、タイでも大きなニュースとなった。今回の火災は、こうしたアジアからの観光客の減少につながるのではという声もあるが、前出の記者は「東日本大震災のときに激減した外国人観光客だが、台湾人とタイ人の訪日人数はすぐに回復した。親日国であり、気候風土やのんびりした空気が沖縄と似ている両国からのインバウンド需要が減るとは考えにくい」と語る。

 首里城の再建はアジアの人々も心待ちにしている。