目黒虐待死 被告の父が流した涙の意味

2019年10月02日 16時15分

 昨年3月、東京都目黒区の自宅アパートで船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5=当時)を虐待し死なせたとして、保護責任者遺棄致死や傷害などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判の初公判(1日、東京地裁)で、起訴内容を大筋で認めた被告の“涙”が話題を呼んでいる。

 黒スーツに青いネクタイ姿の雄大被告は、頬がこけてガリガリにやせていた。弁護人は元妻の優里被告(27=保護責任者遺棄致死罪で懲役8年の判決を受け控訴)との関係にも言及。「理想の家族像があり、高い理想が被告のプレッシャーになった」などと述べると、被告はハンカチで目頭を押さえた。この“泣きのしぐさ”についてインターネットでは「演技に決まっている」といった意見が出た。果たしてそうなのか。

 ブログ「プラセボのレシピ」で情報発信を行っている精神科医の山下悠毅氏は、こう語る。

「被告が『“減軽”につながる』と本気で考えていたなら、演技的に泣く可能性はあるでしょう。しかし、そうでなかったとしたなら、被告が泣いた理由はもっと別の所にあるはずなのです」

 演技でないとしたら涙のワケは何なのか。

 山下氏は「もちろんその理由は一つではないと思われます。過去への後悔、父親としてのふがいなさなど、様々な気持ちが入り組んでいたはずです。その中で最大の理由は何かと問われたなら、私は『被告は本当に悲しく、つらい気持ちであったために涙したのでは?』と推察するのです」として、こう続ける。

「被告の悲しみの対象は、殺害された結愛ちゃんではありません。被告は、これから重い量刑がのしかかる自身の未来に対して涙したのです」

 山下氏は「報道の内容を見る限り」と前置きした上で、被告は「おそらく『他人の痛みを理解できない』『主観でしか物事を考えられない』といった特性を抱えていると思われます。そんな被告が公判に立ったなら、自身の未来に思いをはせ“涙する”ことは想像に難くありませんし、『涙することで傍聴者の不快感をより高めてしまう』ことも、彼は考えが及ばない可能性が高いのです」と指摘した。