全国一斉提訴は「悪質出会い系運営サイト」に効果あるか

2013年06月28日 16時00分

 資産家や女性会員を装う「サクラ」を使った出会い系サイトなどで、法外な利用料や手数料をだまし取られたとして、愛知県の男性ら28人が24日、サイト運営業者など約40社に計4500万円の損害賠償を求めて、全国13の裁判所に提訴した。出会い系でだまされても恥ずかしくて誰にも相談できず、泣き寝入りするケースが多い中、勇気ある行動だが、効果はどれほどあるのだろうか。

 原告弁護団によると、原告が提訴したのは名古屋地裁やさいたま地裁、仙台地裁大河原支部、横浜地裁横須賀支部、広島簡裁など全国の地裁、地裁支部、簡裁。

 サクラが疑われるサイトに関する被害相談が相次ぐ中、利用客らによる一斉提訴は初めて。19日には、福岡県の男性による損害賠償請求訴訟の控訴審判決で、東京高裁がサクラによるうそのメール送信を認定し、横浜市のサイト運営会社に約2200万円の支払いを命じており、各裁判所の判断が注目される。

 訴状などによると、原告は勧誘メールなどを通じてサイトに登録。サイト会員などを名乗る相手から「金を払うので話し相手になってほしい」「高額の現金が手に入る」などと勧誘され、メール交換を繰り返した。手数料や連絡先交換の手続き費用の名目でサイト側に金を支払ったが、面会できたり、相手からの入金が確認できたりしたケースはほとんどなかった。

 ネット事情通は「だましの手口からすると、今回はサクラも混在するいわゆる出会い系サイトですらなく、ただ高額手数料をだまし取るだけの出会い系詐欺サイトだったようです」と指摘する。この一斉提訴でサクラを使っているようなサイト全体に影響はあるのだろうか。

 詐欺事情に詳しい本人訴訟コンサルタントの野島茂朗氏は「出会い系詐欺の業者ですから、原告が勝訴しても、被告は『民事の判決なんて強制力はない』と賠償金を払わないでしょう。提訴しても、出会い系詐欺会社が口座を空にして、別会社で同じような商売をしても、追及できませんから、判決はただの紙切れになるでしょう」と語る。

 それではどうすればいいのか。民事ではなく、刑事にするしかないようだ。

「出会い系詐欺会社の運営者やオーナーは、若くして詐欺で財をなした不良が多いんです。バブリーな生活を失うのが怖いので、本来は刑事事件にして、示談金を取る方が被害者の回収率は高いでしょう。ただ、警察はインターネット犯罪への対応力が低いので、事件化が難しいのが現状です」と野島氏。

 サイバー犯罪が多発する中、警察庁は民間の情報セキュリティー会社との連携を強めているが、犯罪者側はどんどん進化を続けており、取り締まる側が追いつくのは難しそうだ。