駆除依頼件数1・5倍スズメバチの恐怖 全身125か所以上刺され臓器不全で死亡

2019年09月12日 16時00分

怖いスズメバチ

 和歌山県で10日、スズメバチに刺された男性が死亡した。警察への取材で、死因はこのようなケースで生じる「アナフィラキシーショック」(アレルギー反応)ではないことがわかった。

 同県日高郡由良町の山中で亡くなっていたのは、近所に住む農家の濱野榮次さん(78)。県警御坊署によると、午前8時ごろから家族と農作業をしていたが、1人で山中に入っていった。帰宅が遅いことを不審に思った息子が探したところ、山の下り面で頭を上にしてあおむけに倒れているのを発見。午後1時ごろに110番通報した。

「顔は刺されていなかったので、通報時はスズメバチの被害ではなく、熱中症で倒れたというイメージだった。ただ、付近にはまだスズメバチが飛んでいた」(同署)

 駆け付けた救急隊員や警官によって死後硬直が認められた。検視の結果、胸部を中心に両腕両足と背中にスズメバチに刺されて赤黒い内出血ができた跡が60か所認められた。さらに解剖したところ、なんと125か所以上も刺されていたことがわかった。

 死亡推定時刻は午前10時ごろ。同署によると「アナフィラキシーショックによる呼吸困難などの症状は認められない。死因は『急性循環不全』。ハチに刺されたことで血液がめぐらなくなったことによる臓器不全だった。遺体には針だけでなく、ハチの腹の一部ももげたまま刺さっていた。襲われて、必死に手ではらったんでしょうね…」。

 このようなときは通常、ハチの巣を駆除するが、今回は付近に巣が見つからなかった。また、当初はハチ被害の報告がなかったため、用意なく向かった警察官も1人刺された。

 この夏、何度もハチの駆除に出動している業者「ファミリー」(埼玉県春日部市)の代表・長澤幸義さんは「6~7月に降雨量が少なく、梅雨明けから30度を超える日が続いて巣作りが活発化した」とする。

 例年と比較して駆除依頼件数は1・5倍になったという。10月ごろまで活動は続く。一般的にスズメバチが狂暴化するのは9月で、都会でも気を付けなければならない。