御用「バックレ窃盗のノジマ」全国コンビニ泥棒旅で16都府県1000万円荒稼ぎ

2019年09月05日 16時00分

「バックレ窃盗のノジマ」が御用となった。大分県警は4日、16都府県のコンビニエンスストアで30件の窃盗を繰り返したとして、住所不定、無職の野嶋亘平(こうへい)容疑者(36=常習累犯窃盗罪で公判中)を追送検し、捜査を終結したと発表した。偽名を使いアルバイトとして雇われ、勤務初日にレジなどから現金を盗む手口で、約1000万円を“荒稼ぎ”していた。人手不足のコンビニ業界を狙った犯行の可能性もあり、今後模倣犯が続出するかもしれない。

 捜査員の間では「バックレ窃盗のノジマ」として名が通っていた。

 県警などによると、野嶋容疑者は2017年8月から18年10月までの間、16都府県のコンビニで30件の窃盗をした疑い。最北は宮城県、最南は鹿児島県で、福岡県内では5回犯行に及んでいた。1店舗あたりの被害額は最高額127万円、最低額は5万円。すべてに共通するのは、勤務初日の短時間でレジや金庫から金を奪い、隙を見計らって姿をくらますことだ。

 捜査関係者によると「率先してレジに立ち、客や従業員が見ていないタイミングでレジから金を盗み、ポケットの中に入れていた。ある程度の“戦果”を得たら、トイレ休憩と称してその場を離れ、そのままバックレ。長居は不利になるので、勤務開始からわずか2時間で“逃亡”することもあった」という。

 大分県警は17年12月に大分市のコンビニから約25万円を盗んだ疑いで、野嶋容疑者を全国に指名手配。県内のコンビニに手配書を配って注意を呼びかけたところ、昨年10月、大分市内の店から「似た男が面接に来た」と通報があり、現れた野嶋容疑者を逮捕した。

 それにしても、なぜ野嶋容疑者はいとも簡単に犯行を繰り返せたのか? その裏にあるのは、コンビニ業界の深刻な人手不足。なかには人員不足と長時間労働を理由に、24時間営業を取りやめる店舗も出てきている。

 野嶋容疑者はいずれも偽の氏名や生年月日を記入した履歴書を提出。面接では明るく朗らかに応対していたという。

「加えてコンビニでアルバイト経験があり、即戦力であることをアピールしていた。面接のあったその日のうちに働くこともあった。店側も好意的に受け取っていた」(同)

 しかし、その“正体”は生来の窃盗犯。野嶋容疑者には今回の事件以前にも窃盗の前科があり「3回パクられて、有罪判決を受けている。生業はなく、窃盗だけで生計を立てていたその道のプロ」(同)という。

 結婚はしておらず、両親とは疎遠。盗んで得た金は交通費やホテルの宿泊費用に充てていた。調べに野嶋容疑者は「生活費を手早く稼ぐため」と容疑を認めている。

「キャバクラなどで豪遊することはなかった。実働数時間で大金を稼ぎ、金が尽きたら再びレジ窃盗の旅に出るというルーティンだったようだ」とは別の捜査関係者。

 危惧されるのは模倣犯が出現することだ。昨年12月には神奈川県海老名市のコンビニで、アルバイトの大学生がレジから3000円を盗んだ疑いで逮捕されている。

 これ以外にもコンビニチェーンの本社社員になりすました男性が、右も左も分からない外国人従業員に「両替金を持ってきなさい」と指示を出し、そのまま金を持ち去るなど、コンビニを狙った犯罪は増加傾向にある。

 このままでは窃盗犯の絶好のカモになりかねない。