異例会見11時間“玉ねぎ男”で韓国大混乱

2019年09月03日 16時10分

 どこまでも異常な韓国――。文在寅大統領の最側近の曺国(チョ・グク)氏が2日午後から日をまたいで11時間近く続けた緊急記者会見で、数々の疑惑を否定した。法相候補である曺氏は、娘の大学不正入学疑惑などスキャンダルが噴出し「むいてもむいても疑惑が出てくる」ことから“玉ねぎ男”と呼ばれ国民の不興を買っている。なのに会見では法相就任に前向きな姿勢を見せたから驚きだ。この状況に「コリア・レポート」の辺真一編集長は「異常事態となる」と事態の行方を危惧している。

 本来なら2日は韓国国会で曺氏が法相に適任かどうかを検証する聴聞会が開かれるはずだったが、与野党で調整がつかず見送られていた。そんなタイミングで曺氏は「自ら国民に説明したい」と記者会見を開いた。

 曺氏にまつわる疑惑には娘の大学不正入学と奨学金不正受給、家族による不透明なファンドへの投資、父親が運営していた学校法人を巡る不自然な訴訟などがある。特に超学歴社会の韓国において、大学不正入学は多くの国民の反感を買っている。

 曺氏は「若い世代に失望と傷を与えた。法的な議論は別として、国民に申し訳なく思う」と謝罪。その上で不正入学疑惑について「(不正入学にかかわったという)教授に私も家族も連絡したことがない」と否定した。

 ほかの疑惑についてもことごとく関与を否定し「どんな政権になっても戻ることのない改革を行うことを約束する」と法相就任に前向きな姿勢を示した。
 報道陣の質問に一つひとつ答え、誠実さをアピールしたように法相就任を辞退する考えはまったくないようだ。強行突破すれば政権支持率の下落を招きかねず、文大統領にとってはリスク要因になるのは承知しているだろうが、なぜ曺氏にこだわるのか。

 辺氏は「文大統領は曺氏に対して、警察、検察、情報機関をひっくるめた司法改革を期待しています」と指摘。文大統領は、これまで時の政権の意向に左右されがちだった司法を正すことを考え、その改革を曺氏に託曺としている。

「曺氏は『検察にメスを入れる』と気合が入っていた。それに対して検察は組織を守らないといけない。曺氏を目の上のタンコブと認識したわけです」(辺氏)

 このままいけば曺氏は法相に就任し、検察が上司である曺氏を捜査するという、日本では考えられない展開になる。

「曺氏は会見で『法と証拠に基づいて捜査してもらいたい。(私が法相になっても)家族に対する調査の過程を報告する必要はない』と話していました。『捜査をやめろ』なんて言わないでしょう。検察は曺氏が法相になっても捜査を継続し、逮捕することもあり得ます」(辺氏)

 文大統領は、疑惑だらけの曺氏を大臣にし、検察とガチンコ対決をさせることが政権のためになるとでも考えているのか? そんなことになれば司法改革どころか大混乱が起きる。まして辺氏の言葉通り、「法相逮捕」となったら、これはもう世界中から笑われる異常事態というほかない。

 そもそも法相候補が捜査対象になっていたら、候補から外されるのはどこの国でも当たり前だ。

 日本では法相に就任してからでも、疑惑には厳しい。自民党の松島みどり氏は2014年9月に法相に就任したが、選挙区でうちわを配った公職選挙法違反疑惑があり、在任期間48日で辞任している。

 民主党政権時代には田中慶秋氏が外国人企業からの献金や暴力団関係者との交際が取りざたされ、就任約3週間で法相を辞任。柳田稔氏のように失言で辞めたケースもある。

 疑惑を抱えながらも強行突破を図ろうとする曺氏。巷間では文大統領が次期大統領候補に考えているともされているが、「こういう形で名前が出てしまった以上、さすがに次期大統領はないでしょう」(辺氏)。

 文大統領は世論調査を吟味したうえで最終判断を下すとみられるが、法相就任を見送ったとしても「よくぞ側近を切り捨てた」とホメられることなどあるはずがない。結局、政権へのダメージは避けられず崩壊が早まるだけだ。