特殊詐欺グループのリクルーター 夏休みの学生に“魔の手”

2019年08月07日 16時10分

 特殊詐欺グループのリクルーター役だった男が逮捕された。

 警視庁が詐欺容疑などで逮捕したのは、東京都あきる野市の左官業、榎戸滉貴容疑者(27)。今年4月、仲間と共謀し、東京・立川市の女性(79=当時)の自宅に市役所職員や信用金庫職員を装って電話し、キャッシュカード1枚をだまし取り、50万円を不正に引き出した疑いがもたれている。

 この事件で受け子として逮捕された少年(16)の供述で判明したのは、榎戸容疑者の詐欺グループに引き入れるリクルーター、スカウトマンとしての顔だった。

 当時、榎戸容疑者と少年は職場の先輩後輩関係だったが「受け子の仕事は1回成功すれば3万円もらえる」などと少年を勧誘していた。調べに榎戸容疑者は「少年からアルバイトを紹介してほしいと言われ、SNSで知り合った人に紹介しただけで、営業のような仕事だと思っていた。詐欺とは知らなかった」と容疑を否認しているという。

 いまだに広がり続ける特殊詐欺事件の中、犯行グループは受け子の人員確保のため、あの手この手を使っている。

「最初は暴走族や不良グループの先輩から後輩へという流れだったが、今は大学や高校の部活などにまで勧誘の手が伸びている。今回の事件では職場の先輩後輩だったが、上下関係が厳しいと、断れない」と捜査関係者。

 今年5月には国士舘大ラグビー部、7月には日体大のボクシング部、トランポリン部に所属する大学生が特殊詐欺で逮捕されたが、同じ傾向だ。最近は「SNSで『裏バイト 高収入』と仕事内容を伏せて募集をかけ、ごく普通の中・高・大学生が手を染めるケースが増えている。受け子は電話でダマす役とは違うので犯罪の認識がないのも問題」(同)とも。

 警察庁のデータでは昨年、特殊詐欺で摘発された者のうち、未成年は全体の3割で749人。うち、8割が受け子役だった。夏休みの学生に詐欺グループのリクルーターの魔の手が伸びている。