逮捕!刃物逃走男を支えた“悪友ネットワーク”

2019年06月24日 16時20分

 ようやく平穏が戻った。19日に神奈川県愛川町の自宅から収監を避けるために刃物を持って逃亡し、公務執行妨害容疑で指名手配されていた小林誠容疑者(43)が同県横須賀市で23日、逮捕された。同容疑者は窃盗、傷害、覚醒剤取締法違反などの罪で懲役3年8月が確定していた。知人の車などを乗り継ぎ、県警に出頭するとのウソの電話をし、身なりを変えた5日間の逃亡劇を支えたのは“悪友ネットワーク”だったが、最後は慢心が命取りとなった。

 23日午前6時38分、横須賀市森崎のアパートに潜んでいた小林容疑者に逮捕状がやっと執行された。19日に横浜地検職員らが愛川町の自宅に訪れた際は刃物を振り回して抵抗して逃げたが、このときばかりは年貢の納め時とばかりにおとなしかったという。

 午前6時前後からアパートを20人以上の警察官が取り囲み、ドアを叩いて「出てきなさい」「窓から逃げようと思っていても無理だぞ」と説得。室内には小林容疑者と部屋の主で犯人蔵匿の疑いで逮捕された幸地大輔容疑者(38)、女性2人に子供もいたという。他に男性1人がいたという情報もあるが、素性はわかっていない。

 近所の男性は「小林容疑者が連れて行かれた後も女性が大声で警察に抵抗していた。『話が違う』『助けた人たちは関係ないだろ』『カメラを回しているから何かあったら弁護士に相談する』とか聞こえた」と振り返った。

 この女性たちと小林容疑者の接点は不明だが、幸地容疑者とは知人同士の関係だった。地元厚木では名が知られるほどのワルだった小林容疑者は、逃走中はたくさんの悪友のつてを使っていた。

 近隣住民の中には小林容疑者の潜伏を予感していた人もいた。

「幸地さんは結構コワモテでして。よく数人の男女が車で乗り付けて彼の家へ行くのを見ました。みんなちょっと怖い感じでね。約2年前には幸地さんが住んでいた部屋で警察沙汰があった。小林容疑者の逃走のニュースを聞いたとき、横須賀に来ても不思議じゃないなと思いました。そんな感じの方でした」
 逃走翌日の20日に「厚木市内から、小林容疑者の知人男性が住む大和市内まで車で送った」と証言した知人女性がいたが、神奈川県警の今回の捜査は同容疑者の知人をしらみ潰しに当たるアナログなものだった。

「小林の周辺には暴力団関係者のほか、過去の窃盗事件に絡む連中、覚醒剤を通じてつながっている男女などがおり、その所在確認を丹念にやった成果が出た」(捜査関係者)

 やはり、最後に頼ったのも“悪友ネットワーク”の中にいた幸地容疑者だったというわけだ。

 横須賀潜伏が発覚したきっかけは小林容疑者が23日未明に横須賀市公郷にある公衆電話から知人に電話をかけたことだった。公郷は森崎の隣町に当たる。これを知った警察が幸地容疑者宅に的を絞ることができた。

 近所の20代男性は「2日前にも警察がこの辺にいて、なんだろうなと思っていた」というだけに、小林容疑者の交遊関係の解析から捜査線上に浮上していたようだ。

 公衆電話に向かう様子も目撃されていた。

 40代男性は「メディアでコンビニかどこかに入る様子の写真が公開されていて、あれと同じ赤いバッグを持っていたんです。服装はグレーのスウェットに長ズボンでしたが、顔は小林容疑者にそっくり」と振り返った。現れた方角から、幸地容疑者宅から歩いている途中と思われる。

 真夜中とはいえ、ド派手なバッグをそのまま持ち歩いていたということは、横須賀まで来れば大丈夫という慢心があったのだろう。この男性は通報しなかったが、小林容疑者にとってはこの外出が命取りとなった。  

 一方、小林容疑者の逃亡を許してしまった横浜地検の中原亮一検事正は23日、記者会見し「地域住民や学校関係者の皆さまに多大な不安と迷惑をお掛けする事態となり、誠に申し訳ありませんでした」と謝罪した。逃走から約3時間後に事案を公表し、対応の遅れが指摘されたことにも「客観的に時間の経過があり、責任は重いと思っている」と話した。