【交番襲撃】飯森裕次郎容疑者に“病気悪用”の疑惑

2019年06月18日 16時25分

飯森容疑者が逮捕された山中のベンチ

 大阪府吹田市の「千里山交番」で古瀬鈴之佑巡査(26)が胸などを刺され拳銃を奪われた事件で、強盗殺人未遂の疑いで逮捕された飯森裕次郎容疑者(33)の供述が不可解だ。所持品から精神障害者保健福祉手帳が見つかり、精神疾患が指摘されている。事件直前にアルバイトを欠勤する際は「幻覚が強くなりそうだ」と自覚症状を訴え、警察には「私がやったことではありません。病気がひどくなったせい」と犯行を否認している。精神科医の茅野分氏は「病気を利用しているのではないか」と疑問を投げかけた。

 飯森容疑者は、17日早朝に吹田市の北隣にある箕面市の山中でベンチに寝ているところを確保されたのは本紙昨報通り。強奪していた拳銃は1発発射された形跡があり、事件現場近くの住宅街で16日午前6時ごろに破裂音が鳴ったのを住民が聞いていた件との関連を警察が調べている。人的被害は確認されていない。

 警察の調べに対し「私のやったことではありません。病気がひどくなったせい、周りの人がひどくなったせいです」と供述。所持品には2級の精神障害者保健福祉手帳があったという。飯森容疑者は東京の自宅で母親と2人暮らしをしており、関西テレビ常務の父親は大阪に単身赴任していた。自宅マンションでトラブルはなかったという。2018年11月から障害者雇用で採用されたアルバイト先のゴルフ練習場でも、問題は起こしていない。

 練習場運営会社の広報担当者は「お客さんや他の従業員とのトラブルはなく、無断欠勤や遅刻もなかった。真面目な勤務状態でした」と振り返った。月~金曜の午後5時から午後9時まで週5日勤務。清掃業務に当たっていたという。

 長期休暇を取ることもなかった飯森容疑者だが、今月上旬に沖縄旅行をしている。さらに欠勤を願い出た。「11日の勤務後に『12日から16日まで休みたい』との話がありました。後日、『6月末まで休みたい』に変わり、15日夜に『体調が戻ったので25日から出勤したい』と電話がありました」と明かした。

 体調について、同担当者は「持病があって、自覚症状として悪い方向にいくかもしれないと。幻覚が強くなってくるかもしれないということでした」。持病の詳細については話せないとしたが、統合失調症だったという情報が浮上している。

「病気のせい」という供述に幻覚の自覚症状。刑法39条には心神喪失の場合は罰しないと書かれており、飯森容疑者にも適用されてしまうのか。

 銀座泰明クリニックで精神科医を務める茅野氏は「幻覚の自覚症状があるというのは病気を利用しているのではないか。かつて宅間守死刑囚も病気を利用して罪を軽くしていました」と指摘した。

 大阪教育大附属池田小の児童殺傷事件の宅間死刑囚(すでに執行)は事件前にも多くの犯罪を犯していたが、精神障害を装って責任能力を問われないことがあった。その宅間死刑囚を思い浮かべたという。

「統合失調症というのは幻聴と妄想に取り込まれてしまう傾向にあり、自覚できない。犯人が自覚できたというのは違和感があります」と話す茅野氏は、供述についても「病気のせいというのは逃げています。罪状を軽くしようとしている印象を受けます」と首をかしげる。

 続けて「父親がテレビ局の常務ということで、もしかしたら本人の知的レベルは高いのかもしれない。自分にとって、得になるように病気を利用しているのではないかという仮説が考えられます」

 飯森容疑者は犯行後に着替えたり、山中に向かう前に虫よけやスマートフォンの充電器を買ったりと計画性がうかがえるが…。警察は精神状態についても慎重に調べている。