山形・美人女医殺害 2人の接点と殺意の謎 医師と患者の関係ではない可能性濃厚

2019年06月13日 16時00分

 山形県東根市さくらんぼ駅前のマンションで、眼科医の矢口智恵美さん(50)が先月19日、殺害された事件で、山形県警村山署捜査本部は12日、殺人と住居侵入容疑で山形大人文社会科学部4年の加藤紘貴容疑者(23)を逮捕した。だが、2人の間に接点は見つかっておらず、防犯カメラ映像での行動などとあわせて謎が深まっている。

 加藤容疑者は19日早朝、マンション2階にある矢口さん宅に侵入し、鈍器で矢口さんの頭部を殴り、頭蓋内損傷で殺害した疑いが持たれている。矢口さんは1人暮らし。防犯カメラには2度ほどにわたり部屋を出入りする不審な人物が写っており、映像解析から加藤容疑者が浮上した。

 これまでの捜査では2人の接点、関係性は確認されていない。矢口さんは自宅から約5キロ離れた村山市で「矢口眼科クリニック」の院長を務めていた。東京出身で、東根市の公立病院などの勤務を経て同クリニックを開業。地元では美人女医としても知られていた。

 一方、加藤容疑者は通っていた山形大に近い山形市内に住んでおり、自宅と殺害現場の距離は約20キロある。同院の受診歴はなく、医師と患者の関係ではないとみられる。

 逮捕容疑とされる殺害の方法は手荒だった。現場で血のついたゴルフクラブのパターが見つかっており、矢口さんは頭部を何度も殴打され、大量の血痕が残っていた。犯人には強い殺意があったとみられる。窃盗目的で侵入し、居合わせたとすれば、致命傷まで負わせる必要があったのかの謎が残り、室内も荒らされた様子はなかった。

 矢口さんは殺害される前日の18日夜、新人スタッフの歓迎会に参加。午後9時に自宅に送り届けられたが、車内に携帯電話を置き忘れたことに気付き、約1時間後、スタッフに電話で月曜(20日)に持ってきてもらうよう頼んでいたという。矢口さんの遺体は19日午後5時50分ごろ、事前に会うことを約束していた弟が同部屋を訪ねた際に発見していた。

 携帯電話を忘れたタイミングの翌朝に男に侵入され、殺害されるというのは偶然にしては奇妙に映る。

 現場は山形新幹線さくらんぼ東根駅の近く。殺人事件などめったに起きないエリアでもあったことから、不可解な事件として発生直後から県内に衝撃が走っていた。

 地元関係者は「このへんは治安が良く、家のカギをかけていないところもあるくらいで、侵入窃盗なんてのは珍しい。2人の接点はなかったというが、携帯電話が(20日まで)丸1日なくても大丈夫だというのは、別にもう1台持っていて、容疑者が持ち去ったのではないか」と推測する。

 県警は捜査に支障が出るとして、加藤容疑者の認否を明らかにしていない。現場のマンションの付近の防犯カメラには、加藤容疑者とみられる不審な男が、矢口さんの部屋がある2階だけでなく3階にも上がる様子が写っていた。

「無施錠の部屋を狙った窃盗や女性への性的暴力目的にもみえるが、被害者をパターで何度も殴っている点からは、怨恨の可能性が高い」(捜査関係者)

 侵入目的や動機などは今後の捜査で明らかになりそうだ。

 山形大によると、2015年に入学した加藤容疑者は、これまでに学内でトラブルなどを起こしたことはなく、事件翌日の20日も授業に出席。最後の出席は今月10日だった。18年10月~今年3月には「一身上の都合」で休学していたという。

「本学の学生が、このような事件で逮捕されたことについては、誠に遺憾。現在、警察で捜査中のため、詳細は把握できておらず、事実関係については確認中。事実関係を確認したうえで、厳正に対処していく」とコメントしている。