“太鼓盗み達人”にチラつく指南役の存在

2019年06月05日 16時20分

町田市で盗まれた太鼓(左)は修理に16万円かかった

 全国各地のゲームセンターで人気の「太鼓の達人」が高校生に盗まれる事件が多発している。警視庁少年事件課は4日までに、東京都町田市のゲームセンターで太鼓を盗んだ窃盗容疑で男子高校生ら3人を逮捕。愛知県警中署も同日、名古屋市内で太鼓の部品を盗んだ同容疑で別の男子高校生を逮捕した。少年らは太鼓の達人の熱狂的なユーザーだったというが、なぜ盗むのか。ゲームセンター関係者は「彼らはネットでつながっている。盗み方を教える指南役がいるのです」。どうやら「盗みの達人」がいるようだ。そんな“太鼓の窃盗団”の実態に迫った。

 町田市のゲームセンターから太鼓の達人の太鼓が盗まれたのは4月18日。入り口の目の前にある太鼓がなくなっていた。店は客の指摘で気付いたというほど鮮やかに盗んでいった。防犯カメラには3人が写っていたという。

 4月末に北名古屋市のゲームセンターで太鼓が盗まれた事件が報道されたこと(本紙既報)で、少年たちは太鼓の返却を決意。店員は「5月6日の開店直後に太鼓が黒いビニールをかぶった姿で元の場所に戻されていました。7日に1人の少年が謝罪にやって来ました」と振り返った。

 その場で少年に謝罪文を書かせた。少年は「自分1人でやった」と主張。アルバイトをしたお金で補償すると話したという。店員が親の連絡先を聞くと、「LINEしか知らない」と驚きの返事。これではまともに補償の話ができないと思った店員が警察を呼んだ。警察が少年を問い詰めると「3、4人でやった」と複数犯であることを認めた。

 太鼓は戻ってきたが部品が足らず、修理に出したら16万円かかった。店長は「修理して稼働したのが5月17日。約1か月の間、しかも1年で一番利用されるゴールデンウイークに動かなかったのは痛い。補償は30万円じゃ足りないと思いますよ」と弱り顔だ。

 名古屋市のケースはより根深さをうかがわせる。同市千種区のゲームセンターで太鼓の達人の太鼓の打面部分が盗まれた。逮捕された少年は「普段通う店で付け替えて練習するため、高得点が出やすい打面を選び盗んだ」とマニアックな供述をしている。

 名古屋市ではサプリメント窃盗が続発。この件で複数の高校生が逮捕され、自宅から打面が見つかったことで事件が発覚。万引きしたサプリメントを転売して太鼓の達人で遊ぶ資金にしていたという。この高校生たちは太鼓の達人の愛好家が集まるSNSで知り合っていた。

 なぜ高校生は太鼓の達人を盗むのか。被害に遭った町田市のゲームセンター店長は「ネットでつながった仲間に自慢したいんじゃないか。家庭用もあるけどゲームセンターのオリジナルが欲しかったのでしょう」と指摘。

 また、あるゲームセンター関係者は「音ゲー(音楽ゲーム)と呼ばれるジャンルは熱狂的なヘビーユーザーが多い。その中でも太鼓の達人は中高生に圧倒的な人気を得ています。中高生だから犯罪への抵抗が少ないんじゃないか」と話した。

 また、「愛好家の高校生グループは複数ある。関東地方に、彼らに盗み方を教える指南役がいるというのです。彼らはツイッターなどネットで緩やかにつながっている」(前出関係者)。

 太鼓を盗む鮮やかな手口は指南役がいると考えれば腑に落ちる。一部情報では、町田市の事件を起こした高校生らと北名古屋市で事件を起こした高校生は面識があったという。意外にも大規模…。ネットでつながった高校生窃盗団の全容解明が待たれる。