川崎殺傷・岩崎容疑者“謎のノート”引きこもり部屋から押収「正」の字が無数に

2019年05月31日 16時00分

岩崎容疑者の自宅から押収物を運び出す捜査員

 児童ら19人を襲撃した川崎殺傷事件の岩崎隆一容疑者(51)の引きこもり生活の異様な実態が見えてきた。部屋にパソコンはなく、携帯電話を所持した形跡もなし。意外にもきれいに整理整頓された部屋には、テレビとゲーム機があるだけだった。県警が押収したノートの中身も本紙の取材で判明。「正」の字が不気味に無数書かれていたり、ダジャレのような文章が連なっていたという。“令和最初のモンスター”は何を考えていたのか――。

 岩崎容疑者は28日朝、川崎市多摩区登戸新町の路上で、スクールバスを待つカリタス小学校の児童ら19人を襲撃し、自らも首の2か所に刃物を突き刺し絶命した。

 動機を巡ってクローズアップされているのは、同容疑者の生い立ちだ。両親が幼少期に離婚し、同容疑者は伯父夫婦に引き取られたが、定職に就くでもなく幼少期から使用している部屋に引きこもっていたとみられる。

「外出するのは、人けのない早朝か深夜。隣家に『庭の木が目に入った!』と怒鳴り込んだこともあり、地域では要注意人物として認識されていた」とは近隣住民だ。

 同居する伯父と伯母とも生活空間は別。独自のルールを設け、同じ家にいるのに、夫婦と顔を合わせることはほとんどなかった。小遣いをもらう時や、食事をもらう際も対人ではなく、所定の位置に置いてあるものを取っていたという。

 そのくせ、プライドだけは人一倍高いようだ。心配した伯母から渡された手紙に「閉じこもり」と書かれていたことに激怒し、後日、伯母に「洗濯や食事、自分のことは自分でちゃんとやっているのに、引きこもりとは何だ!」と反論したという。

 岩崎容疑者の部屋は、伯父夫婦も近寄ることができない“立ち入り禁止エリア”。長期間引きこもっていたのだから、パソコンの前に四六時中いる姿を想像しがちだが、予想に反して持っておらず、携帯電話を所持した形跡もなし。物も多い方ではないという。

 一方、部屋にはテレビとゲーム機があり、捜査関係者によると「(ゲームは)テレビにつなぐタイプと、ポータブル型のものがある。ゲームソフトもいくつかあるが、内容は精査中」という。

 家宅捜索で押収したノートの一部も判明した。おどろおどろしい文章や絵が描かれているわけではなく、現時点で事件の計画を示唆したり、自殺願望をうかがわせる記述は見つかっていないそうだが…。

 何かをカウントしていたのか、「正」の字が不気味にびっしり書かれたページや「ドッジボールのドッジはどっちだ?」など、意味不明な文章も随所に確認できるという。ダジャレのようにも思えるし、見方によっては「ドッジ」なのか「ドッヂ」かで悩んでいるようにも解釈できる。

 事情を知る関係者によると「自身の死生観についてにおわせる文言もあるそうだ。ただ、直接的な表現ではないため、捜査員も解読に手を焼いている。動機の解明につながるかもしれないが、単に素朴な疑問なんかを書き留めていただけの可能性もある」。

 事件に関しては、この日、新たに同容疑者の足取りが判明。午前7時ごろに自宅を出た同容疑者は、最寄り駅から電車に乗り、登戸駅で下車。歩いて現場のバス停に向かった。その際、包丁が手から滑らないようにするため、手袋を歩きながら付けていた。

 午前7時40分ごろ、同容疑者はリュックサックから包丁2本を取り出し、バス乗り場にできた児童の列の後方にいた保護者の小山智史さん(39)を刺した後で、児童の列に向かって、無言のまま襲撃を始めたという。

 PCや携帯電話もない中、ノートに記した文字が唯一の動機解明の糸口になるのか…。