川崎殺傷・岩崎容疑者「現金10万円」所持の謎 逃走資金ならなぜ自殺を?

2019年05月30日 16時00分

岩崎容疑者宅から押収物を運び出す捜査員

 スクールバスを待っていた神奈川・川崎市の私立カリタス小学校の女子児童ら19人を包丁で殺傷し、直後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)は、実は逃走するつもりだったのか? 凄惨な事件から一夜明けた29日午後、川崎市精神保健福祉センターが会見を開き、同容疑者が無職で、同居していた伯父夫婦から小遣いをもらって生活していたことを明かした。捜査関係者によると、同容疑者のズボンのポケットには現金約10万円が入っていた。何のためのカネなのか、専門家が迫った。

 同センターが会見で明かしたのは、岩崎容疑者と川崎市麻生区で同居していた80代の伯父と伯母、別に暮らす親族から、計14回にわたり相談を受けていたことだった。本紙昨報通り、長期にわたり無職だった岩崎容疑者は、引きこもりがちで、伯父夫婦とほとんど会話がなかった。その生活ぶりが浮かび上がったのだ。

「伯父夫婦が小遣いを渡し、伯母が作って冷蔵庫に入れておいた食事を食べていた」

 2017年11月から今年1月まで、同センターに電話相談を6回受け、区役所などで伯父夫婦ら親族を含めた面接は8回行っていた。「(岩崎容疑者を)刺激したくない」と伯父夫婦が話したため、本人との接触はしなかったという。

 相談の結果、伯父夫婦が高齢のため、昨年6月から訪問看護などのサービスを開始。スタッフが家に出入りしても、岩崎容疑者とトラブルになることはなかったという。

 一方、神奈川県警は同日、岩崎容疑者の自宅を殺人容疑で家宅捜索。居室の押し入れから、包丁の空き箱4箱が押収された。事件現場で押収した包丁4本のものである可能性もあるとみて捜査中。ノートなども押収されたが、動機や遺書、計画性を示す明確なものは出てこなかったという。

 また捜査関係者によると「自殺した岩崎容疑者の右耳あたりの傷は、幅4センチで骨が見えるくらい、自分で躊躇(ちゅうちょ)なく切っていた」と言い、同時に岩崎容疑者のズボンのポケットに現金10万円が裸のまま入っていたと明かした。

 凶行を働いた直後、自ら包丁で命を絶った岩崎容疑者は、なぜ10万円もの大金を所持していたのだろうか。

 警視庁元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「逃走資金だとすれば、自殺プランは当初はなかったかもしれない。有り金全部を持っていたとも考えられる」とみる。

 人通りの多い街中で大勢の児童ら殺傷し、万に一つも逃げられるとでも思っていたのか? 常人には理解不能な感覚だ。その異常さが染み付いた理由を北芝氏はこうみている。

「やはり常人とはかけ離れた物事の感じ方があり、高齢夫婦に面倒を見てもらい、引きこもりがちで社会性がなかったというのが問題。こうした生活で、有用な情報を得ることができず頼る相手もいなかったということ。児童らを殺傷後に自殺している点は、周囲を道連れにして、社会とコミットしたいという承認欲求があったといえる」

 本紙昨報通り、岩崎容疑者は小学校低学年の時に両親が離婚。伯父夫婦に引き取られ、伯父夫婦の実子の男女とともに同居して育った。そのいとこがカリタス小学校にかつて通っていたとの情報もある。その生い立ちと生活が異常なドス黒い感性を増幅させたようだ。

 世間を震撼させた大量児童襲撃犯の謎はまだまだ多い。