名古屋・メッタ刺し死亡事件“二刀流”犯人「相当の恨み」

2019年05月27日 16時45分

 名古屋の一大歓楽街・栄の路上で25日深夜、多くの通行人がいる中、同市の職業不詳榊原淳次さん(46)が刺殺された事件の背景が見えてきた。現行犯逮捕された同市の無職山城清幸容疑者(48)は愛知県警中署の調べに「相当の恨みがあった。殺そうと思った」などと供述。凄惨な襲撃の様子は目撃者が撮った動画や写真がツイッターで拡散した。2人の関係とは――。

 事件が起きたのは25日午後11時10分ごろ。市営地下鉄栄駅から南東に約400メートルの飲食店や宿泊施設が集まる繁華街の中区栄4丁目の路上で、飲食店から出てきた榊原さんが急襲された。土曜の深夜とあって、人通りが多いにもかかわらず、男は逃げる榊原さんを追い詰めると、その場で壮絶な暴行を加えた。

 ツイッターで拡散した2分20秒の動画を見ると、男は右手で鉄パイプを持ち、左手には刃物を握り、鉄パイプで殴っては刃物で刺し…を延々繰り返す。しかも頭部を執拗に狙い、何十回と思いきり殴り、その右手には黒っぽい手袋のようなものをはめている。鉄パイプを持つ手の滑り止めとみられ、計画的殺人だったとみられる。

 その男が山城清幸容疑者。殺気立った同容疑者にはほとんど誰も近付けず、やじ馬は遠巻きに見守った。動画に入っている外国人ホステスらの「警察を呼んで!」「死ぬよ~」「ヤバい、ヤバい、やめて!」といった叫び声も聞こえる。

 榊原さんは路上にあおむけで、みぞおちあたりに刃物が刺さったまま倒れていた。拡散写真を見ると、刃物は体に対し垂直に刺さっており、周囲は血まみれ。「ケンカして人が倒れているようだ」との119番で救急隊が駆け付け、病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。

 司法解剖の結果、榊原さんの死因は出血性ショックと判明。頭蓋骨が折れていたほか、頭や胸に複数の刺し傷や切り傷など、腕や足にも複数の傷があった。

 事件を目撃した男性(48)は山城容疑者について「刃物と鉄パイプのようなものを持って、逃げる男性を追い掛けて襲った」と証言。「男性は『やめてくれ』と叫んでいた」と話した。

 一方、現場で警察官に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山城容疑者は、連行される際も抵抗しなかったという。

 2人は知人で山城容疑者は榊原さんに「相当の恨みがあった」と供述。「凶器は事前に購入し、待ち伏せして襲った。殺そうと思った」などとも話しているという。榊原さんの行きつけの飲食店街を把握していた。同署は2人の間にトラブルがあったとみて、容疑を殺人に切り替え捜査している。

 現場近くにゲイバーが点在しているため、当初ツイッターでは「ゲイ同士のケンカ」との情報が流れたが実際は違った。

「山城は元暴力団関係者。被害者ももともとは山城と同じ組にいたが、最近、別の組に鞍替えしたことで、事件に発展したようだ。薬物も絡んでいる可能性もある」とは地元捜査関係者だ。

 山城容疑者が言う「相当の恨み」とは一体何だったのか? 同関係者は「山城が懲役刑を受け、服役している間、被害者に交際していた女性を取られ、家族の金も取られ、その恨みを募らせていたようだ」と話している。

 暴力団関係者を狙った計画的犯行の可能性が高まり、名古屋の暴力団抗争に発展しなければいいが…。