車ごと消えたゆうパック運転手…“古都のミステリー”を犯罪心理学者が推理

2019年05月15日 16時15分

 京都市左京区の左京郵便局で9日午前、配送車が「ゆうパック」数十個を積み込んで配送に出た後、運転手ともども行方が分からなくなっていることが14日に分かった。捜索願が出され、京都府警が捜しているが、いまだ行方は分かっていない。事件に巻き込まれたのか、あるいは事故か、はたまたなんらかの事情による失踪なのか。外国人観光客でにぎわう“古都のミステリー”を業界関係者や専門家が推理した。

 日本郵便近畿支社などによると、運転手は左京郵便局から配達委託を受けた会社(大阪府)の20代の男性従業員。9日に、白の軽ワゴン車に「ゆうパック」を積んで配送に出たまま、夜になっても戻らなかった。

 同近畿支社の関係者によると配送車については「基本的にGPS機能は付いていない」といい、会社や家族も連絡が取れない状態で、10日に下鴨署に捜索願を提出した。男性の氏名や委託会社、配達ルートなどについて「現在、警察も捜査しており事件か事故かも分からない。詳細についての発表は差し控えたい」とし、男性の仕事ぶりや悩みの有無についても「把握できていない」。

 また、配送車に数十個の荷物が積まれていたことについては「移動距離もあり、配達量が多いか少ないかは一概には言えない」(同関係者)。

 荷物が届いていない顧客に同近畿支社は、個別に事情を説明しているといい「ご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ない」と謝罪した。

 それにしても、運転手はどこへ行ってしまったのか。事件や事故に遭ったのか、それとも、自ら消えたのか…。警視庁元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏はこう推理する。

「運転手が金銭トラブルなどを抱えた状況があって、車ごと逃げてしまった。もしくは、精神的に深刻な問題を抱えているか。そのどちらかの可能性があると思います」

 左京郵便局が受け持つ左京区内には鞍馬など山間部もあるが、谷などへの転落事故の可能性については「ゼロとは言わないが、監視カメラでの追跡と配送ルートを検討すれば発見できるはず」。さらに、事件に巻き込まれた可能性についても「ヤンチャ者でヤクザに関係しているなら考えられなくもないが…」と否定的な見解を示した。

 最も可能性が高いのは「20代の男性が行方をくらます原因として、一番多いのは借金と人間関係です。誰とも携帯電話がつながらないようですし、どちらかといえば借金かな、という印象。邪推ですが『ゆうパック』の中身をあさって換金すれば勝手な行動もできる。後先を考えずに自分の意思で行方不明になったと考えるのが一番しっくりくる」と話した。

 一方、宅配業界関係者は「働き方改革で親事業者は労働時間を減らす方向にありますが、荷物は減らない。じゃ、誰が配るのかとなると、大手の宅配会社は配達生産性がしっかり管理されているので社員が配りますが、親方日の丸体質が残る日本郵便は丸々委託業者に任せる。その委託会社に入るお金は、荷物1個配ってせいぜい200円未満。運転手は1日働いて数十個配っても1万円もいかないでしょう。その上、正社員から文句でも言われたら、ヤル気もなくして逃亡する気持ちも分からないではない」と推測する。

 そうした状況から、配送員もなかなか集まらないのが現状といい「残りの人生や家族のことを考えたら戻ってくるのが普通ですけど、借金とか男女トラブルとか、何か闇を抱えた人だったのでは。今の運送業界の縮図みたいな出来事ですよ。直接雇用なら、こんなこともなかったかもしれない」(業界関係者)。

 いずれにせよ、男性の行方は分からないまま。北芝氏は警察発表がないことに「捜査に進展がないからだろう」とした上で、今後について「いずれ出てこないとしょうがないので、そのうち、ひょっこり出てくるのではないか」とみている。