鬼畜父の蛮行を積極的に支えた鬼母の正体

2019年05月16日 07時15分

【“普通”の家 父・母・娘…家族レイプの衝撃:短期連載3】長女に性的虐待を続けた父親Aに酌量の余地は全くない。その犯行を止めずに、むしろ積極的に支えた母親Bは? 世間から責められるべき鬼母なのか。自分も幼いころに実父からDVを受け、大人になってからもAに支配されたというが“被害者”なのか。連載3回目は母親に注目してみる。

 Aによる長女への性的虐待で、Bは「長女を寝室に連れて行く」「他の子供が寝室に近づかないように見張る」「夫と娘の性行為を撮影する」「Aの性的興奮を高めるため、自らも娘と性行為に参加する」という主に4つの役割を果たした。

 加担した理由は――。Bの実姉の証言では、幼いころに実父から頻繁に殴られたという。そんな環境で支配されやすい下地が形成された。Aと結婚後、家事を失敗するとAから「バカ」「能なし」とののしられ、テレビのリモコンを投げつけられたり、性行為の最中も言葉や性的な暴力を受けた。家族は2度夜逃げしたほど貧困な上、家計はAが管理。Bは歯科医にも行けず、前歯を失い滑舌が悪い。コンドーム代がなく、娘にさえ避妊しないAとの間に、Bは5人の子供を産んだ。

 子供を引き取る離婚を求めたが、Aから許されず。夫と娘がセックスしていることを知られるのが恥ずかしくて、周囲にも助けを求めなかった。判決では支配されるまでの暴力は否定された。

 息子らの「父は母より上の立場だけど、暴力を振るったのは見たことがない」との証言から「暴力や暴言の内容は服従せざるを得ないほど陰湿とは認められない」とした。

 性犯罪への加担はAの指示に従ったものだが「自らカメラアングルを考えて撮影を工夫していた」「長女に卑猥な言葉を言わせようとしたAに同調し、Bも笑いながら長女に発言を繰り返させようとした」と認められた。何より「本件に関与することで自身の性欲を満たしたいという思いもあったと供述している」とされ、罪深い。

 Bの弁護人は取り調べでの誘導や、子供の生活を守るためにAの命令に背けなかったと主張したが、地裁は「同調できない」と退けた。「母親も被害者」と言うつもりは毛頭ない。被害者は長女だ。診察した精神科医によれば、長女はノートに「一生会いたくない」と父親への拒絶感を示した。似ている大人を見かけたりすると、悪夢や頭痛など不調が出るため、治療を受けている。

 長女はBに対して「どうかと思うが言えなかった。母親は被害申告した私を責めていると思う」と揺れている。被害を明かした際「両親を許せません」としながら「相談したら家族の関係が崩れる」と苦悩していた。

 長女は警察へ訴えた後、Bにだけ伝えた。BがAに黙っていたのは、母としての最後の意地、妻としての抵抗だったのかもしれない。Aが知れば、家宅捜索までに証拠の動画データを消すこともできたからだ。

 長女と小学生の次女と三男は事件が表面化した後にAと離婚したBの戸籍に入った。裁判の最後、Bは娘に謝罪し「一生をかけて罪を償っていきたい」と述べた。(続く)