皇居“無法ドローン”操縦者の正体と動機

2019年05月08日 16時10分

 令和の新時代を迎えた2日と6日の夜、東京・千代田区の皇居周辺を小型無人機ドローンとみられる物体が飛行し、警視庁が警戒を強めている。東京23区内などや夜間の飛行が禁止されている中で、平然と飛び続ける“無法ドローン”。操縦者の正体、目的は? 当局はハイテクを駆使しても捕まえることはできないのか。専門家が分析した。

 ドローンとみられる物体が最初に確認されたのは2日午後8時ごろ。皇居周辺や赤坂御用地、大正天皇と昭和天皇が埋葬されている東京・八王子の武蔵陵墓地でも目撃された。

 2回目の飛来は6日午後7時半ごろ。同じく皇居周辺や六本木、四谷でも目撃された。両日とも目撃した機動隊員の証言では光を点滅させ、プロペラが付いていたという。警視庁ではヘリコプターの光だった可能性も含め、慎重に捜査しており、まさにUFO(未確認飛行物体)となっている。

 元岩手県警本部警備課長、北上署長で現在、日本ドローン協会東北統括部長を務める危機管理アドバイザーの中本俊彦氏は「ヘリコプターであれば、航空局に問い合わせて確認できる。米軍ヘリもそれなりのルートを通じて、分かる」とヘリ説には否定的。形状や飛び方からやはりドローンの可能性が高いという。

 2015年に首相官邸にドローンが落下した事件を受け、航空法が改正され、23区および地方都市の中心部のほか、住宅密集地や空港周辺、夜間の飛行が禁止された。翌年には官邸や皇居などの周辺上空の飛行が禁止となるドローン規制法が施行。現在は自衛隊や在日米軍基地上空の飛行を禁止するドローン規制法改正案が国会で審議されている。

 中本氏は「テロ目的で予行演習的に飛ばした可能性はあるが、警備が厳しくなるだけ。改元イベントがあり、ドローンを飛ばせば目立って、大騒ぎするだろうと考えた愉快犯でしょう」とみている。

 ドローンを巡っては、昨年8月に南米ベネズエラで大統領の演説中に爆発物を積んだドローンでの暗殺未遂事件が起きた。 日本でもテロ対策で警視庁は網を搭載した迎撃ドローンや妨害電波を発信し、飛行不能にするジャミング装置を導入しているが、今回の飛行を許したようにテロが可能ということを実証されてしまったともいえる。

「ジャミングで電波障害を起こせば、ドローンをホバリングさせることができる。すぐ捕獲すればいいが、対応が遅れるとそのまま墜落し、爆発物や生物化学兵器を積んでいれば、テロの目的を達成させられてしまう。警察が目視して、飛んでくると分かった状態で初めて対策が取れる。五輪やG20がある中、テロを考えると心配な面がある」と中本氏。突如、飛来するドローンを捕獲するのは難しいのが現状という。

 今回の皇居ドローン犯は、近くで操縦していたワケではなく、あらかじめ決められたルートで自動操縦させていた可能性が高いとみられる。現在のドローンは性能が向上し、標準タイプでも4~5キロ先から目視外操縦が可能とあって、違法操縦者の拘束も容易ではない。

「ドローンは災害対策や社会貢献で利用できるのに今回のようなことが起きると法規制が厳しくなり、趣味でやっている人にも迷惑がかかる。我々もドローン関係者の情報網を張り巡らせて、今回のドローンを飛ばした者の心当たりがないか、情報提供を関係者に呼びかけるつもりです」(中本氏)

 警察、ドローン業界関係者が総力を結集させ、迷惑千万な皇居ドローン犯を発見することができるか。