劇場型“除霊”窃盗団が関西に上陸?

2019年04月25日 07時15分

 神戸に上陸したのは“ヤツら”なのか――。兵庫県警葺合署管内で発生した窃盗事件が過去に関東で発生した連続窃盗事件と似通っていた。「除霊しないと、あなたの子供が死ぬ」と脅し、金品を巧みに奪い取った手法だが、その仕掛けが劇場型ともいえる手の込んだもの。神戸での被害報告はまだ1件だが、今後拡大する恐れもあるとみて警察は警戒を強めている。

 葺合署によると、17日午後、神戸市の三宮センター街で女性(42)が中国人とみられる女たちから声を掛けられた。

「あなたに悪い霊がついている。3日以内に除霊しないと、子供が死ぬ」というのだ。女性は指示のまま、近くの自宅に急行。現金、イヤリングなどの貴金属(計11万円相当)を米と一緒に新聞紙に包み、私物カバンに入れて、再度センター街へ。そごう神戸店近くの路上で「今から清める」と慌ただしく除霊が始まった。

 女性は終始目をつぶったままにさせられた。カバンを預かった女らは、金品を白砂糖とペットボトル飲料水と入れ替えた。何食わぬ顔でカバンを返し「カバンを開くと、パワーが逃げる」とくぎを刺し、女性が目をつぶっている間に立ち去った。

 しばらくして目を開けた女性がカバンをあらためてみても時すでに遅し。だまされたと気付き、同日中に警察に届けた。

 こんな簡単なことでだまされるものか? 女たちをA、B、Cとしよう。女らは自分の役割を完璧に遂行していた。まず、Aがターゲットとなった女性に「リン先生のところに行きたい」と声を掛ける。女性は見当もつかない。そこにBが「私はリン先生を知ってる」と姿を現す。最後に、おあつらえむきにCが「私がリンの孫です」と登場するのだ。

 あまりに都合の良すぎる台本だが、さっそうと現れた“除霊師の孫”のCは「あなたに霊がついている!」とAを指さす。返す刀で女性に「あなたにも霊がついているよ!」と脅すのだ。そして、冒頭の「子供が死ぬ」という決定的な文句で女性を信じ込ませた。

 女たちは犯行後、雑踏にまぎれて行方をくらませた。葺合署は窃盗事件として捜査している。被害は県内でもまだ1件だけだが、表面化していない余罪が複数あるかもしれない。

 実は、ほとんど同じものと言っていい連続窃盗事件が2016年前後に首都圏で発生していた。

 神奈川県の横浜中華街など繁華街では15年夏~16年に中国人とみられる3人組の女が、イセザキモールで女性に声を掛けて金をだましとる事件が起きた。

 この時も、女らは被害者の前に1人ずつ現れていた。「病気を治せる仙人を知っているか?」(女1)、「私は仙人の孫を知っている」(女2)、「財産をおはらいしないと、息子の命が3日以内になくなるかもしれない」(女3)。どこかで聞いたような内容ではないか。女性が用意した現金150万円の袋は別の袋にすり替えられた。

 東京でも歌舞伎町や池袋など繁華街で中国人女性狙いの「劇場型除霊窃盗」が続いた。警視庁捜査3課は一連の事件を組織犯罪とみて「爆買い客」を装って入国していた中国籍の男と女を16年4月に逮捕している。被害者は日本に帰化した女性も含めて、中国人・台湾人ばかりだった。都県の被害は30件近く、およそ8000万円にも上った。

 葺合署でも、あまりに似通った過去の事件を受けて「警戒される関東エリアから場所を変えて、まだ手口が知られていない関西で犯行に及んだ可能性がある」と同署関係者。1件で済めばいいのだが。関西圏では中国系の女3人組に注意が必要だ。